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ショスタコーヴィチ―揺れる作曲家像と作品解釈 (ユーラシア・ブックレット)

価格: ¥630
カテゴリ: 単行本
ブランド: 東洋書店
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難しい国の難しい人を易しく解説 ★★★★★
クラシック音楽を聴く者にとって、ショスタコーヴィチはエリート・ファンの通過儀礼のような存在である(これとは別に、単なる「ロシア音楽好き」もいる)。ごく普通に名曲・名演を楽しんでいるだけならば、別に素通りして差し支えない。私も30余年クラシック音楽を聴いて来て、最初の数年は交響曲第5番しか知らず、その後も長い間、数曲のレパートリーしかなかったが、不都合は何もなかった。ただ彼に対する憧れのようなものは常にあって、いつか攻略したいと思っていた。とにかく彼の曲はエッジが立っていて、一度聴き慣れると、矢鱈に「カッコいい」のだ。

しかし彼を本当に理解することは至難である(今でも私にはまるでわからない)。交響曲について言うなら、まず音楽が複雑で、19世紀の音楽を愛好する耳には難解である。また作曲家本人が真意を隠蔽しているため、あるはずの政治的なメッセージが見えない。カラヤンが、スターリンの死後すぐに作られた10番しか採り上げなかったのは、誤解される恐れのない曲が他になかったからではないか。カラヤンほどの人ならば、どうせ世間は政治的メッセージと絡めてあれこれ的外れな論評をしたであろうから。

本書は作曲家の生涯を、代表作品の紹介を交えつつ、わずか60ページ余で解説したすばらしい本である。私は数年前に一度読んでいたが、新たに1時間半ほどで読み終え、翌日再読も完了した。この複雑な国の複雑な作曲家を、迅速に理解しようとするなら、今のところ本書に優る本を私は知らない。人名表記が慣例とやや異なるが、恐らくこちらが正しいのだろう。読みやすく、要領よくまとまっていて、好感が持てる。私は作曲家の運動神経病について興味があって、そのことが一切触れられていないことを不満には思ったが、普通そんなことは問題にならない。ただ1950年代後半の「スランプ」はこの病気と無縁ではないはずだ、と思う。
よくまとまったショスタコーヴィチの一生 ★★★★★
「生誕100年」で演奏会でショスタコーヴィチ(以下、Шと略称)の曲が
演奏されることが多いことと思います。60頁程度の本書は予習や復習に
ちょうどいいと思いました。全体的に筆者は国家社会主義に人生を翻弄
されたШに一定の理解を示しながらも、Шの体制寄りの面と体制に批判的
な面を二つの面を指摘していました。またわずか少ない頁という制約の
中で筆者なりの独自の見解を披露するなど挑戦心が随所に見られよいと
思いました。また学術的な観点から言えば不足(例としてШのユダヤ人
に対する同情など)と感じた人のために文献ガイドもしっかり紹介され
ています。