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栄光なき凱旋〈上〉 (文春文庫)

価格: ¥1
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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小役人シリーズを超えた大河感 ★★★★☆
今までの小役人が普通の市民生活の中で事件に巻き込まれへこたれそうになりながらもなんとか解決する、という一連のシリーズとは打って変わって逃げようのない歴史の流れに翻弄される国家、民族、個人を描きながらも根底ににはヒューマニズムがしっかりと感じられる大作。ハワイとLAの日系人街で暮らす3人の若者がそれぞれの希望や問題をかかえながらも自由に生活していた日々が、日米の開戦と同時に抗うことのできない環境に大変化してしまう。収容所収監、軍隊への入隊(しかも日本語解読という軍務)、いわれのないスパイ容疑などまだまだ苦難が予想される展開。そんな中でも雇用してくれた白人の社長や弁護をひきうけてくれたクェーカー教徒の弁護士などの虚心のない言葉に救いを感じる。文庫も2冊と勘違いし、旅行中で上巻と下巻しか手元にない不運を嘆きつつ、下巻を先に読んでしまうか、帰国したら成田で中巻の速攻買いか思案のしどころとなった・・・。
傑作です ★★★★★
戦争物を毛嫌いするタイプの人でなければ、この本は読み始めてすぐに物語にグイグイ引き込まれていく傑作だと思います。
日系2世アメリカ人ならではの心の葛藤を3人のタイプの異なる人間からの視点も巧いなと思わせられる、帯にあるように真保氏の本の中でも代表作になりうる作品だと思います。
感動! ★★★★☆
感動した!
日系人たちがまさに「栄光」を勝ち獲るために、両親たちの国、日本を相手に戦う描写は素晴らしいです。
3篇と長編ですが、読めば読むほどとまらなくなりました。
ぜひ、手に汗握って読んでください!!
彼らの勇気が仇に ★★★★☆
第二次世界大戦の始まりから、終戦の後始末までがジロー・マット・ヘンリーの青春期である。舞台は、アメリカ合衆国。もっとも大きな要素は、戦争である。また、彼らの共通点は日系二世である。
当時、自由の、また移民への最大のチャンス(生活の場)がアメリカであった。かつてのブラジルや満州の如く(ここでは侵略の概念を外す)。しかし”12・8”が、決定的に運命を変えた。アメリカにおけるマイノリティーとして支配される社会集団と見なされるようになった。貧困でありながらもひたすら働く:ジローしかり、地元密着型小売店の息子:マットしかり、エリート教育学びつつあったヘンリーしかりである。
彼らは、紆余曲折がありながらも、支配される側に踏み込み自己実現の生き様を選択した。それは潮流であり、選択の結果でもあった。優秀な彼らは、駄目もとの作戦に巧みに利用される。運よく成功する。しかし、結末は彼らのボディーは壊れ、魂は消えた。文中、侵略に成功した地域へ、いち早くジープで駆けつけるのは、白人将校たちであると記されている。まさに、社会構造の仕組みを裏打ちしていると感じました。
同じ時代に・同じ苦労をしながらも、その後楽しく老後生活を送った人も少なくはないはずである。では何故、彼らは…。私は、彼らの勇気が仇になったと思いました。
栄光なき凱旋 ★★★★☆
日系2世というのは、はたして日本人なのかアメリカ人なのか。そのどちらでもない。
自分は○○人というのがそれほど重要な事かなあと思いました。
いつもの真保節でとても楽しく読ませて頂きました。この作家は決して読者を裏切らない。