入隊する「権利」を獲得しなければならない理不尽
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自分たちの祖国・アメリカを父や母の祖国である日本軍から守るために戦う決意を固める日系2世たちには、まずアメリカ軍に入る「権利」を獲得しなければどうにもならない、という事実が立ちはだかる。LAでは日系人のほぼ全員が強制収容され、砂漠のど真ん中に「隔離」されてしまうし、ハワイでもいわれのない差別や逮捕が繰り返される。
軍隊には「義務」として参加するのではなく「権利」として入隊するのだ、という強烈な意識。しかも相手は祖父母や伯父伯母らが現在も住んでいるはずの日本であり、同じ年頃の従兄弟たちと戦場で殺しあうかもしれない苦悩。
さまざまな理不尽がわずか二十歳前後の若者に襲いかかる。日本語に堪能で暗号解読や日本兵の尋問など安全そうな軍務についた語学兵にも、およそ達成困難な作戦が与えられ、ハワイ出身の日系人で編成された隊は対ドイツとの激戦地・イタリアに派遣される。
とても重くなりがちなテーマの中でもハワイ出身の若者たちの明るさや「権利」獲得のためには常に主張するべきだ、という前向きな姿勢に救われる。どうかますます悲惨になりつつある戦局の中で希望が見える展開が後篇で待っていることを心から祈ります。