寝ている間に何か喋ったか!
★★★★☆
私鉄沿線で被害者が喉笛を切り裂かれるという連続殺人事件が発生。被害者の脳をMRIスキャ
ナーした第九は、彼らが毎朝同じ電車の同じ車両に乗っていたという共通点を見つける。だが
実は、この連続殺人事件は、その電車のその車両で、ある朝起こった事件とその後に起こる大
惨事の序章にしかすぎなかった・・・。
この巻で問われているのは公共性だ。駅という不特定多数の人が行き来する空間において、助
けを必要とする人が現れたとき、例え危険が待ち受けていようとも、同じ人間としてその人に
手をさしのべることができるか。このマンガではそれができなかった乗客たちに、犯人の放っ
たある“小さな悪魔”たちが牙をむく。
薪を苦しめるのは、第九ならではの、第九の人間にしか分かりえない苦しみ。死者が墓まで持
っていくはずだった「秘密」を、ある意味盗み見ている者としての重責に、第九のその長であ
る彼は苦しめられ始める。彼らの秘密を、せめて自分の脳内への「漏洩」だけにくい止めてお
きたい。だからこそ、その脳が勝手に漏らしているかもしれない眠りの帳を、薪はひどく恐れ
るのだ。
第九が第九として存在していること自体が、精神的な苦痛になり始める第4巻。
早く続きが読みたい!!
★★★★★
前から気になっていたものの、一冊が高いので手を出さなかったのですが
今回アニメ化になると知り、アニメを見つつ漫画も集めることにしました。
巻を重ねるごとに、話の深さが出てきて面白くなっています。
この4巻と3巻は特に犯罪の物悲しさが出ていて、胸に来るものが
ありました。おすすめです。
また4巻は、青木が新登場の監察医・雪子さんへの恋愛、そして
薪さんの苦悩と秘密が少しだけ垣間見れ、より面白くなっています。
薪さんが好きなので、今回苦悩している姿や切ない顔をするのを
見ると胸が痛みます。ぜひ、幸せになってほしい。
そう思うと、青木の恋は叶わなくてもいいかな〜・・などと願ってしまいます(笑)
(薪さんの私生活について、みなさん書かれてますが、多分日ごろの孤独感を
癒すには必要・・なのかもしれないと私は思いました)
グロさ控えめ、切なさ強め
★★★★☆
4冊一気買い・一気読みしましたが、この4巻の2007が一番グロテスクさが控えめで読みやすいと感じました(1箇所だけ変死体が出て来るけど)。
それに、犯罪者や目撃者達の心理が、孤独の中に見える救いとか、無関心のむなしさの中に見える罪の意識とか、複雑な物が見えて、共感出来る部分がありました。
犯罪それ自体は悪いことだけど、切なさや悲しさが繊細に浮かんでくるようでした。
注目すべきは特別編。
30ページに満たない短編だけど、薪の苦しみ、辛さ、そして切ない切ない感情があふれてきて、絵の美しさがその心情を際立たせてたまりません。
ついでに私生活がちょっとだけ垣間見れたけど・・・色んな意味でショックを受けました。
これまで「青木目線」中心で追いかけられた物語が、「薪目線」で語られた部分が新鮮な4巻でした。
清水玲子はすごい!!
★★★★★
清水玲子作品には20年くらい前に一度はまりまして、「竜の眠る星」なんて、少女マンガでこんな壮大な話を情感豊かに描けるんだ〜って感動したモノでした。
その後、「月の子」「輝夜姫」と追いかけていたのですけど、「輝夜姫」の途中から清水玲子作品独特の「重さ」に耐えられなくなってきて・・・しばらく離れていたのです。まあ、私自身「少女マンガ」って歳でもなくなって、少女マンガ自体から離れていたのですけど・・・。
最近、ふとしたきっかけで久々に読んでみたこの「秘密」・・・。
いや〜、ショックを受けました。もちろんいい意味で。
少女マンガ家って、短命な方も結構いらっしゃるじゃないですか。絵は経験を経てうまくなっても、みずみずしさは失われてしまったり、読んでて「モチベーション下がっているなぁ」って感じがしちゃったり。漫画家って本当に難しい職業なのだろと思うのですけど、清水玲子は違ったっ!
絵も展開もコマの使い方も、年月を経て「うまくなっている」というより凄みを増しているっ!
読んでて切なくなるような清冽な感性はそのまま・・・というより、より研ぎ澄まされている感じだし・・・。
少女マンガって何でも恋愛ごとにしちゃう面があるけど、この作家さんは「こういう愛もあるよな」って言うのを描き続けている人だと思うし、それが「MRIスキャナー」っていう飛び道具によって、すごくうまく浮き上がっていると感じました。
犬の飼い主への愛情、子の親への愛情、お互いろくに会話をしたこともない人同士の愛情・・・MRIスキャナーで視点を変えることによって、よりリアルに迫ってきます。
もちろん、愛情以外の感情もですけど・・・。
普通だったら共感できないようないろんな人の人生にも、どんどん引き込まれて感情を動かされてしまう。
卓越した手腕と感性の賜物だと思います。
私が無駄に20才トシをとっている間に、清水玲子はすごい漫画家になってしまっていました。
平凡な人間に天才は語れないけど、やっぱ天才なんじゃないかなぁ?
もっともっともっと読みたいです!
いやいや、ほんとにこの人はすごい!!
目をそらす事の罪
★★★★★
難事件を解決する為、被害者の『脳』を見る――。トップシークレット、第4巻。
連続殺人事件と謎のウイルス。「電車」という閉ざされ場所で起こった悲劇…。今日本に住む人間として、胸にグサッときました。特にこのシリーズはいつも一段落後の容疑者・被害者のエピソードが、凄く切なく描かれていて…苦しくなりました。
今回は新キャラの女性が登場で、これからの展開が気になります!番外編では薪さんの『秘密』…といった感じですが。二度、ビックリしました!これから掘り下げてくれるのでしょうか…。気になります!