退廃的時代
★★★☆☆
室町幕府というのは、尊氏の時代を除いては、政治が機能していなかったような印象がある。本巻で石ノ森氏はそういった室町時代の側面を描いている。
足利家は権力にあこがれつつも政治を忘れ、管領などの要職に就く人間もこれといって政治的なヴィジョンがなく、かれら管領や有力守護職にある人間は自分の分国(領地)にも赴かず京で、卿のような生活をしていたのだろう。
エゴによる政策なき政争は、政府や地方の分裂につぐ分裂を生み、放置された農民は生活に困窮し、土一揆を起こすにいたる。
公家から武家への権力移動が、鎌倉時代に行われたが、室町時代には、その名門武家から土豪へとさらに実力が移動していったように考えられる。