だるまちゃんシリーズで知られる加古里子による「歯」の絵本である。著者自身が優しく丁寧に説明するのは、歯の役割、歯を丈夫に守るための方法、なぜ虫歯になるのか、丈夫な歯と丈夫な体の関係など。各ページの最後はかならず問いかけでおわり、ページをめくるとその答えが用意されているという展開には、よどみがなく飽きさせない。そして「歯」と「ははは」という笑いをかけて最後は笑って本を閉じることになるのだ。
1970年に福音館書店の月刊科学絵本「かがくのとも」に取り上げられ、1984年に装丁を新たに出版された傑作絵本である本書は、歯みがきを嫌がる子どもたちだけでなく、すべての子どもたちに歯について考えるきっかけを与えてくれる1冊である。(小山由絵)