この巻の主人公は4代皇帝クラウディウス。見た目もパットしない50歳のおじさんがカリグラ暗殺でいきなり皇帝に担ぎ出されてしまった。
歴史の勉強をよくしていたクラウディウスはなかなかうまく治世を行っていくのだが・・・
決して自分一人ですべてをやろうとしなかった彼は、個人的な使用人たちを秘書官グループとして活用する。当然、元老院としては面白くない。その上、やりたい放題な皇妃が加わる。ついには自分の奥さんに殺されるハメになる。
帝位の正当性を血に求めるならば、皇帝の重要な仕事の一つは子作りという事になる。中国では後宮を作り、そのいわば皇帝の家庭内の使用人が宦官で、官僚グループたる豪族や外戚との権力争いに終始した事を思い出す。ここまでローマにはそれがほとんど見られなかったのが興味深い。もっとも皇帝が子作りに精を出せばメッサリーナのような女性が多く出る訳で……この先はちょっと控えておこうか。
それにしても、「人間とは心底では欺されたいと望んでいる」という行には、多くの「ヤラレタ」と思わされたい男たちは手を打って喜んだのではないか。これぞ真骨頂とご多分に漏れず喜んだのだが、うれしいのだから仕方がない。素直に大喜びしておくとしよう。