水羊羹書店
★★★★★
ティベリウスが皇帝に就任したAD14年から、カプリ島に隠遁するAD27年までが語られています。この時代の情報は、古代ローマの偉大な歴史家タキトゥスの著書「年代記」に負うところが大きいのですが、彼はなぜかティベリウスを徹底的に嫌っています。しかし塩野さんは、もちろん「年代記」は参考にしていますが、タキトゥスとは違う人間像をティベリウスの中に見ています。その後の繁栄を大きく左右する3人目として、帝国の運営を任されたティベリウスがどういう人物だったのか。「年代記」と比較しながら読み進めていけば、塩野さんの語るティベリウス像がより鮮明に浮かび上がってくる思います。