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ローマ人の物語〈20〉悪名高き皇帝たち(4) (新潮文庫)

価格: ¥515
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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暴虐よりも失政 ★★★★★
ローマ史どころか世界史に興味がなくても誰もが知る暴君ネロ。暴君ハバネロという菓子があるほど知名度は高い。
母殺し、妻殺し、ついでに師のセネカも自殺に追い込み、ローマ大火の責任はキリスト教徒になすりつけ、
といった「業績」があるために、とにかく残酷なイメージが強い。妻を殺したのも妊娠中で、体内の胎児を見てみたかったのだと聞く。
しかし、「悪名高き皇帝たち」という題を反語的につけた著者の姿勢は、当シリーズ一貫して、「本当にそうであったのか」に尽きる。
「悪名高き皇帝たち」は悪く言われ、治世の一部であれ不人気であったのは確かである。しかし、著者はネロも単なる暴君と断ぜず、
悪事を行った場合でもその行動の背景を丁寧に描いている。この結果、母殺し妻殺しにさえも、それなりの理由が与えられる。
この作品中に描かれる姿においては、ネロは単なる気まぐれに残虐行為を行うクレイジーな男ではなく、
彼なりに必要に迫られて極端な事をいろいろやってしまい、周囲に「これはまずいのではないか」と思わせてしまったようだ。
家族を殺したのも、少なくともイメージは良くない。その結果、軍団や市民の反感も募ってしまったのだった。
暴君ネロを新たな視点から描いた一作。巻末には「悪名高き皇帝」時代の年表と、参考文献表が付されている。
余りにも有名な暴君ネロの時代 ★★★★★
世界史オンチの私は、「ネロ=暴君」ということしか知識がなく、ネロがどのような政治を行ったかのごく一般的な教養すらももっておりませんでした。そのため、ネロが描かれるこの巻はある意味楽しみにしていたのですが、塩野氏が描くネロは(確かにわがままではあったにしても)単なる暴君ではなく、どこか憎めない人物として描かれます。
オリンピックを開催したり、自ら歌手として市民の前で歌ったり…と、やりたい放題。更に、母殺しに妻殺し、有能な将軍たちの理不尽な処分(自死命令)、キリスト教徒の処刑などなど…確かに書き連ねれば乱暴なことばかり。
それでも悪意に満ちた政治という訳でなく、就任後5年は善政であったと古代の史家も評価する皇帝であったことが分かります。塩野氏もどこか哀れみをもった表現で、「皇帝だったことさえ忘れたら愉快な若者」「善政はしたのだがそれが持続しなかっただけ」と評しています。その死後、ネロの墓には花や果物の供物が絶えなかったというエピソードからもネロの印象が大きく変わるのではないでしょうか。
やりたいことと、やらなくてはならないこと ★★★★★
母アグリッピーナの謀略により若くして皇帝となったネロは、自立とともに養うはずのバランス感覚を養い損ねた。皇帝という立場を理解しきることが出来なかったことが彼の盲点ではなかったか・・・最高の教師セネカを得ていたにも関わらず自制というものは学べるものではなかったようだ。歌を歌いにギリシアへ行ってしまったり、出すべき指示が極端すぎたり・・・と。ドラッカーがこの時代にいたら「なすべきことをやりなさい」と説教してくれたかもしれない。
ローマが大火に襲われた原因をキリスト教徒の放火と決め付け、残酷なまでの死刑の執行を指示した暴君ネロの行動が、後々のキリスト教徒迫害への先鞭をとってしまう。
善政の時に調子に乗らない慎重さが彼にあったら・・・と思わざるをえない。
ネロのイメージがかわった。 ★★★★☆
世界史の教科書では母親とセネカを殺し、悪政の限りをつくした皇帝として登場するローマ帝国5代皇帝ネロ。
しかし本書に書かれているように少し詳しく見ていくと、皇帝としての才能が全く無かったわけではなさそうである。
むしろ治世の前半期はなかなかよい政治を行っているように思える。
しかしあまりに簡単に人を殺しすぎたり、市民の誤解を招くような行動が多すぎたために、後々まで語り継がれるような悪帝の代表になってしまったのだ。
ローマ皇帝のかたち ★★★★★
 暴君だったから殺されたのではなく、統治者として不適格であるから殺されたネロの物語。
 母アグリッピーナの野望によって帝位に就いたネロ。元老院も市民も、ネロの登場を歓迎する。先帝の嫡子を殺し、母を殺しても、ローマ市民は黙認した。統治がうまくいっていた間は。だが、統治に不適格であると思われたとき、レス・プブリカの為にこのギリシアかぶれの繊細な若者は殺されたのである。
 アウグストゥスが作り上げたローマ皇帝とは、ローマの住人の父であり、パトローネスであり、レス・プブリカの体現者であった。これほど労多くして実の少ない役もないと苦笑してしまう。帝国は実務を行う人々によって盤石であったにもかかわらず、不適格者の統治は許されなかったのだ。共同体意識の強い場合に良く見られる、すべての責任を一人に押しつける事で得られる安心感が、得られなかったために殺されたとも言える。血は、言い訳でしかなかった。
 それにしてもこの母子を見ると、男は自分のちっぽけなレス・プブリカのためにも女を愛する方がよさそうだと、愚にも付かないことを思ったりする。この帝政の始まりがカエサルであったら、どんなローマになっていただろうか。
 
Neem ★★★★★
悪名高き皇帝たち(4)
水羊羹書店 ★★★★★
「悪名高き皇帝たち」の最後は、ローマ皇帝の中で最も有名なネロです。彼の行動について、批判されていることも、批判の陰に隠れがちな善政も、ひとつひとつ取り上げていくと、等身大のネロが現れてきます。ネロは本当に暴君だったのか、その評価は一人一人違うのでしょうが、現在一般的になっているイメージは、帝政に反感を抱いていた古代史家と、迫害を受けたキリスト教の、多大な影響を受けていることは間違いないでしょう。確かに弁解の余地のない愚行も幾つもありましたが、ネロの死後、彼の墓に花や供物を絶えることなく捧げた市民たちの思いは、理解できるような気がします。
ジン書店mark7 ★★★★★
読了。サブタイトルは「悪名高き皇帝たち 4」。ラストを飾るのは5代目皇帝・ネロ。キリスト教弾圧で有名らしいネロは、実際のところどうであったのか?キリスト教とローマ帝国の関わり合いが興味深い巻です。28巻まで発売中。