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MW(ムウ) (1) (小学館文庫)

価格: ¥627
カテゴリ: 文庫
ブランド: 小学館
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クレイジーネスプラス1 ★★★★★
読みながら、頭の中にジャズがうるさく響きました。
そして、灰皿を埋める煙草の匂いまでも。

それぐらい、不穏な空気を底に秘めた物語が急展開で進む中
結城は時々、子供のような愛情を賀来ただ一人に向けるのです。
捨て駒の女を「もう君は助からない」と嘲っておきながら。

殺した女の死体処理は、それこそ事務員のようにスピーディー。
けれど、強固な意志で殺戮を止めようとする賀来には、手間取らざるを得ない。

前半の「水くさいね」と呟く結城の表情は、同性愛なんて言葉を超えてしまって、
賀来だけが、彼を人間として迎えてくれたことの現れにも思えます。

ところで、映画版は主演俳優もカーチェイスも頑張っていて、
アクションへの熱意は感じられました。
けれど原作を読むにつけ、ごく普通のアクション映画のごく普通の刑事さんでは
何故にMWなのか?とも思えてなりません。

日本人離れした風貌の目黒検事は、物語中盤、賀来に決定的な一言を浴びせます。
この気魄が一層物語を引き締めていて、私の大好きな台詞でもあります。
映画の中にも、もう少し角度を変えた見方が、強い力で見えていたら…と思うと、
少しもったいないとも感じるのです。

いずれにしても、短い(単行本でも全3巻)冊数でよくぞ全てを描ききったと思います。
善悪を超えたとてつもない天才(手塚治虫)が、天才を描ききった、その過程にも思えます。


主人公のキャラクター ★★★★★
主人公の結城は、手塚作品でも屈指のキャラクターです。
倒錯した色気と、強い意志を持ち、
欲望という面で、非常に人間的で素直で、男性的であり女性的。
切れ者だし、狡猾だけど、賀来に対しては幼さと表現してもよいほど愛情を抱いています。
話題性のためのホモセクシュアルではなく、
二人が男同士だからこそ成り立つストーリーだと思います。
もちろん、退廃的でけしからん作品ですが、私は大好きです。
道徳や理屈を当てはめて語るよりも、直感的に楽しんだ方が良い作品ではないでしょうか。
そういう意味で人を選ぶかもしれません。

あぁ、結城さんったら!
手塚さんは怖いなぁ。。。話題になって事をきっかけに ★★★★☆
よく考えてみたら、手塚漫画の中で、数少ない未読の作品な気がして手に取った。まだ、上だけしか読んでいませんが。
この時点で、非常に面白いのは事実ですね。
とともに、手塚が、鉄腕アトムの表面的な娯楽性だけから、単に子供向けの漫画家と思っているのは大間違いだ、と言うことを再認識させられます。
単純に面白いとは言い難いです。むしろ、ロシア文学や中世のイギリス小説に通じる人間のドグマの宿命を感じます。あるいは安部公房の世界か。

正直、<下>のストーリと結末は知りません(ある種の予感と、予断を持って読んでいくことになりますが)。
どう転ぶにしろ、破局しか見えない中、決してうきうきした気分とは程遠い感覚で、しかし、読まねばならんな、と言うような、どこか悲壮な気分で。。。
さて、下を読むことにしましょう。
むぅ〜(@_@;) ★★★★★
手塚治虫最大の問題作といわれるゆえんは同性愛、戦争、政治、金、宗教、マスコミ、日米関係etc…
わりかしタブー扱いされているものをとりいれてあるところだと思う。
ただ、広く浅く感は否めない。そんな中でも会社での日常、工藤探偵事務所的なデカ、神父の葛藤、女性の想いの描写、時折出てくる美しい自然など含めるとやっぱ面白いってなる。
まあ何と言っても絶対的神は美知雄であり、悪のヒーローである。この漫画では。だから最後の結末は至極当然であるといえる。
個人的にはアドルフの方がガツンときました。
でも星五つなんだな。
最後の結末は鳥肌が立った… ★★★★★
色んな人のMWの感想を読んで興味が沸いたので、購入しました。
沢山の感想を読んだ後に購入したのでワクワク感は期待出来ないかな…と思っていたのですが、さすが手塚治虫。
最後まで引き込まれてしまいました。
読んでいる内はそんなに気が重くはならなかったけど、全て読み終わった後、話の重さと凄さにただただ呆然としました。
今考えてみると、P276のあの台詞…。
人数から考えても…子供達が言う訳無いし…。
背筋が凍りました。今思い出してもゾッとします。
美知夫の狂人っぷりには最後まで驚かされました。
気分は悪くなるかもですが、オススメです。
多分一生記憶に残る作品になるかと思います。