本作品はジャズ界におけるアランフェス協奏曲としては、1・2を争う名作でしょう。
オーケストラは入っていません。カルテットかクインテットによる演奏です。
アルバム全体がブルージーに構成されており、
最終曲のアランフェス協奏曲へ導いてくれます。
協奏曲にこだわったロドリーゴと、コンボにこだわったジム・ホール。
一見相反するかに思われますが、一聴すればその疑念は晴れるでしょう。
guitar : Jim Hall piano : Roland Hanna bass : Ron Carter
drum : Steve Gadd trumpet : Chet Baker a-sax : Paul Desmond
arranged by Don Sebesky on "Concierto de Aranjuez"
盲目のギタリスト、ロドリーゴの表題曲「アランフェズ協奏曲」、マイルスの名盤ほどではないが、上出来。さすがドン・セベスキーの編曲だ。一曲目の「ユール・ビー・ソー・ナイス・カム・ホーム・トゥー」がこのアルバムのベスト。1975年録音だが、古臭い感じはまったくない。これぞ名盤。
くり返し聴いても飽きない一枚だ。クリード・テイラーシリーズは、イージーリスニング風だが、しっかいジャズしている名盤が多い。秋の夜更けに聴くと、スペインの大地が閉じたまぶたの裏に甦る。(松本敏之)