歴史とは,なんて過酷なのだろうと思う。
長い。
人は,生死の中をさまよう。
僕たちは,自分の目先の人生の中で苦しみ
右往左往する。
この漫画を読んで,どこに行くのか?
どうすればいいのか?などと,深くて遠い
テーマを感じるわけです。
『アリオン』に始まる氏の漫画活動は
一貫して歴史の中にきらめく人間たちの姿を
生き生きと描こうとしているように感じる。
本作の舞台は第二次世界大戦前夜の満州。
日蒙の混血児ウムボルトの数奇な運命を描く、
歴史ロマンである。本巻はその一巻目。
出自が謎に満ちた主人公、顔見世の回である。
しかし石原莞爾を始めとして
甘粕正彦・東上英機・植芝盛平ら実在の人物が
本当にリアルに描かれているのには舌を巻く。