「Blood」シリーズ第2弾は、怪奇ものの定番「人狼」にまつわるお話です。「人狼」ものというと、どうしても人狼が引き起こす恐怖やら惨劇が満載のスプラッタ系のお話になりがちですが、この「Blood Trail」は、田舎でひっそり暮らしている人狼の一族が謎のハンターに襲われ、ヘンリーに助けを求め、彼とビクトリアがトロントを離れて人狼殺害犯人を追うという、通常の人狼ものとは逆パターンの展開です。
　主人公二人もさることながら、人狼の一家がなんともほほえましくてよいのです。彼等は人の姿はしていても、性格や行動パターンは全くの犬科で、「服なんかうっとうしい」とすぐ脱いでしまうため、周囲からヌーディスト一家だと思われていたり、集中力が続かない（学校は苦手）とか、思いっきり人なつっこい（人の姿をしていてもついつい、犬みたいにめっちゃ愛情表現してしまう）とか、一番小さい一家の末息子に至っては、まさに子犬そのもの！こんな愛すべき人々を狩る奴が許せなくなります。
　また、舞台が草深い田舎なので、都会派の主人公達の珍道中ぶりにもにやりとさせられます。
　このレビューを読んで「怖くもなんともないじゃないか！」とお思いの貴方！大丈夫です。ちゃ〜んと､ハラハラどきどきもありますから。そこは、読んでのお楽しみ！