日露戦争 (山崎雅弘戦史ノート)
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20世紀の初頭、極東の満洲(現中国東北部)一帯では戦乱の予兆が広まりつつあった。1896年に締結した清国との条約により、満洲領内の鉄道敷設権を獲得したロシアは、勢力圏をさらに南へと押し下げるべく、朝鮮との境界を流れる鴨緑江の畔へと進出した。一方、こうしたロシアの南進を、国の安全に対する脅威と捉えた日本政府は、朝鮮の利権獲得を諦めるようロシアを説得しようと試みたが、ロシア側は交渉の引き延ばしを図りつつ、満洲支配の既成事実を着々と積み重ねていった。
1904年2月4日、日本政府は緊急御前会議を開き、ロシア側の朝鮮進出を阻止するには、事態が手遅れにならないうちにロシアとの軍事的対決を行う以外に道はないとの結論に達し、同日夕刻には東郷平八郎中将を司令官とする連合艦隊に出撃命令が下された。同時に、陸軍の第1軍を構成する近衛師団と第2師団、第12師団にも動員令が下達された。
そして4日後の2月8日正午、朝鮮西部の仁川港で、ロシア海軍の巡洋艦ヴァリャーグと砲艦コレーツが日本海軍の第4戦隊による襲撃を受けて沈没。これにより、日露両国は満洲を巡って戦争状態へと突入したのである。
本書は、1904年2月から1905年9月までの1年8か月にわたって繰り広げられた日露戦争の顛末を、コンパクトにまとめた記事です。2007年2月、著者(山崎雅弘)の発行する歴史シミュレーション・ゲーム雑誌『シックス・アングルズ』別冊第5号の記事として、A4版14ページで発表されました。当時両軍が抱えていた戦略・作戦・戦術上の諸問題を整理し、戦役全体の流れをわかりやすく解説しています。