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北朝鮮建国史 (山崎雅弘 戦史ノート)

価格: ¥0
カテゴリ: Kindle版
ブランド: 六角堂出版
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二〇世紀に誕生した数々の国家の中でも、朝鮮民主主義人民共和国(以下北朝鮮と略)は、独立国としての建国の歴史がとりわけ謎と神秘に満ちた国であると言える。北朝鮮国内で出版される歴史書の内容は、年代を経るごとに様変わりしていき、そこに記された年号や人名、事件なども、書物の中で生き物が成長するかのように書き換えられてきた。

旧ソ連邦をはじめとする共産主義国家での、政治的意図に基づく歴史記述の改変や抹消は、今となっては決して珍しいものではない。しかし北朝鮮の建国史が他国のそれと決定的に異なっているのは、建国の過程で中心的な役割を果たした、いわば「主役」とも呼ぶべき人物が、実は別の著名人の「替え玉」として登用されたという事実である。

北朝鮮の「建国の父」と称される金日成(キム・イルソン)。「金成柱(キム・ソジュン、金聖柱と書く説もあり)」という本名を捨てて、北朝鮮の国家建設に尽力した彼は、旧日本軍の降伏直後に朝鮮北部の支配権を掌握したソ連軍によって同地へと送り込まれた、当時33歳の若き革命家だった。しかし、ソ連の独裁者スターリンが最初に考案した朝鮮北部の統治組織において、彼の占める地位は決して高いものではなかった。スターリンは、彼とは別の朝鮮人民族主義者を、北朝鮮の大統領の座に据えるよう現地の赤軍司令部に命じていたのである。

それでは、この金日成という若者は、いかにして朝鮮北部の政治権力を掌握し、北朝鮮の独裁的な国家元首という地位を獲得したのだろうか。そして、もし彼が「替え玉」の金日成だとしたら、本物の「金日成」とはいかなる人物だったのだろうか。

本書は、第二次世界大戦の終結(1945年)から北朝鮮の建国(1948年)、朝鮮戦争(1950〜1953年)を経て、金日成から息子の金正日(キム・ジョンイル)に権力が継承されるまでの朝鮮半島北部の歴史を、コンパクトにまとめた記事です。2003年1月、学研パブリッシングの雑誌『歴史群像』第60号(2003年8月号)の第3特集記事として、B5判14ページで発表されました。

拉致問題や核開発問題など、日本にとっても無視できない存在である北朝鮮という国の内在的論理や、同国の政治を支配する思考パターンを理解する一助になれば幸いです。