沖縄県民と沖縄戦 (山崎雅弘 戦史ノート)
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太平洋戦争末期の1945年4月、アメリカ軍は沖縄に上陸し、大勢の沖縄県民を巻き込む形で熾烈な戦闘が開始された。公式の統計によれば、沖縄戦における日米両軍の戦没者数は約20万人で、日本軍戦死者の沖縄以外の出身者は6万6000人、米軍の戦死者数は1万2000人だった。そして、残る12万2000人の沖縄出身者のうち、軍人と軍属(防衛隊や学徒隊も含む)は2万8000人で、それを除く民間人の死亡者数は、9万4000人に達していた。このほか、記録に残らない戦没者として、朝鮮人の労働者が約1万人いたとされている。
つまり、1945年の沖縄戦は、全ての死者の約半数が、日米双方の軍人ではなく、民間人である沖縄県民という、戦史に例を見ない異様な戦いだった。それでは、なぜこれほど多くの沖縄県民が犠牲になったのか。当時の沖縄県民は、どのような形で戦争に関わったのか。そして、アメリカ軍の上陸を迎え撃った日本軍人は、守るべき「同胞」である沖縄県民をどう扱い、追いつめられた県民はいかなる最期を遂げたのか。
本書「沖縄県民と沖縄戦」は、沖縄戦における沖縄県民の戦いに焦点を当て、過酷な戦場における沖縄県庁職員と県民の足跡を、コンパクトにまとめた記事です。学研パブリッシングのムック『沖縄決戦』(2005年4月1日発行)の収録記事として、B5版10ページで発表されました。また、同書に収録された別記事「2つの学徒隊/鉄血勤皇隊とひめゆり部隊」(B5版4ページ)も収録しています。戦後60年を経た今もなお、真の「終戦」を迎えたとは言えない沖縄県民の、厳しい境遇を理解する一助となれば幸いです。