杜の都仙台から
★★★★☆
時を越えて、杜の都仙台を悠々と流れる広瀬川。
遠く蔵王連峰から止め処ころもなく流れる水々は、かって独眼竜伊達政宗が城を構えた青葉山の麓を経て、日本海に注ぐ。
本書はこの広瀬川沿いに住み、昔ながらの暮らしを続けている人々にスポットライトを当てる。
その筆致は目に見るように精巧かつ繊細。ことばの束縛から脱却したかに思えるその着眼力で、みちのくの人情風情、自然の美しさを余すことなく伝える。
写真のない風景写真画集、絵画のない風景絵画集とでもいおうか。
この本が小説という形式をとることでいっそうその上手さが光る。