■内容紹介
フラミンゴの鮮やかな紅の色は、兄と犯した罪の記憶――。
封じられた過去を解き放ったとき、男と女の関係は、小さく……だが劇的に変わっていく。
大人の女性に向けたショートラブストーリーです。

■目次
・紅い葬列
・飛べない鳥
・見知らぬ女
・切なさの理由

■立ち読みサンプル
　その指先にも、違和感を抱かずにはいられなかった。
　いつもは艶やかなマニキュアに彩られている形のいい爪。紅を洗い流した爪は、
それが本来の色なのに、なぜかひどく不自然に感じられる。寒々しい色。
それが比奈を、いつもよりずっと頼りない存在に見せていた。
　昨夜はいつもと同じように、この爪は紅く塗られていた。
いくら常識をわきまえない若い娘だって、通夜の席にあんな爪で出席したりはしないだろう。
（だとするとあの色は、俺と寝るためだけに塗り直したということか……？）
　少し躊躇はあったが、小菅は比奈の手を取って、その指先に舌を這わせた。
【続きは本編で！】

■著者プロフィール
上原尚子（うえはら しょーこっ）

　編集プロダクション在籍時代に、アニメ雑誌の編集、「ルパン三世　密林の追撃」 (双葉文庫）や
「熱血硬派くにおくん―番長連合をぶっとばせ! 」(双葉文庫）など多数のゲームブックの執筆を経て
独立し、「くたばれ戦車商隊」（富士見ファンタジア文庫）でデビュー。
代表作は「戦場に続く都市」（富士見ファンタジア文庫）、「虚空の剣―真・エクスカリバー伝説（共著）」
(富士見ファンタジア文庫) 、児童書「怪異伝説ダレカラキイタ？　シリーズ（共著）」（あかね書房）ほか。
小説以外では、セガサターンのゲーム「QUOVADIS(クオヴァディス)」シナリオ（共著）＆
ノベライズ（角川スニーカー文庫）、ＯＶＡ「究極超人あ～る」シナリオ（共著）、
実話怪談集「『実話』怪談草紙（竹書房文庫）」などに参加。
　学習雑誌の児童向けコラムからＳＦ・ファンタジーまで、ジャンルを問わずに〈文章を書く仕事〉を継続中。
　電子書籍発行集団「竹の子書房」に参加しています。