鴎外大全
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(森鴎外について)
森鴎外(もり おうがい)は一八六二年に石見国津和野(現・島根県津和野町)に生まれました。小説家、評論家、翻訳家、劇作家で、陸軍軍医、官僚(高等官一等)でもありました。本名は森林太郎(もり りんたろう)といいます。漱石より五歳ほど年長になります。夏目漱石と並んで、日本近代文学の巨星です。
大学卒業後、陸軍軍医になり、陸軍省派遣留学生としてドイツで四年を過ごしました。この時の経験が小説「舞姫」の創作に生かされることになります。帰国後、訳詩編「於母影」、小説「舞姫」、翻訳「即興詩人」を発表する一方、同人たちと文芸雑誌『しがらみ草紙』を創刊して文筆活動に入りました。その後、日清戦争出征や小倉転勤などにより、一時期創作活動から遠ざかりますが、『スバル』創刊後に「ヰタ・セクスアリス」「雁」などを発表します。
乃木希典の殉死に影響されて「興津弥五右衛門の遺書」を発表後は、「阿部一族」「高瀬舟」など歴史小説や史伝「澁江抽斎」等も執筆しました。
晩年は、帝室博物館(現在の東京国立博物館・奈良国立博物館・京都国立博物館等)総長や帝国美術院(現日本芸術院)初代院長なども歴任しました。
一九二二年に、腎萎縮、肺結核のために死去しました。満六十歳でした。墓は、三鷹の禅林寺と津和野町の永明寺にあります。
(この作品集について)
この「鴎外大全」は以下のように工夫されています。
一、年ごとに分類・掲載
森鴎外の作品を一八九〇年から一九二二年までの年ごとに分類して掲載していますので、森鴎外の作品の進化をじっくりと感じることが出来ます。
二、年ごとの森鴎外の動静
その年の鴎外の動静を簡潔にまとめて、年度の最初に掲載してあります。作品鑑賞にお役立てください。
(収録作品)
以下のように独自入力の「羽鳥千尋」と青空文庫よりの76作品の合計77作品を収録してあります。うち、「即興詩人」はアンデルセンの、「ファウスト」はゲーテの翻訳です。
一八九〇年(明治二十三年)
1、舞姫
2、うたかたの記
3、みちの記
一八九一年(明治二十四年)
1、文づかひ
2、山房論文
一八九七年(明治三十年)
1、そめちがへ
一九〇〇年(明治三十三年)
1、鴎外漁史とは誰ぞ
一九〇二年(明治三十五年)
1、即興詩人(アンデルセン)
一九〇三年(明治三十六年)
1、「言語の起原」附記
一九〇八年(明治四十一年)
1、能久親王年譜
一九〇九年(明治四十二年)
1、仮名遣意見
2、半日
3、追儺
4、ヰタ・セクスアリス
5、当流比較言語学
6、長谷川辰之助
7、鶏
8、私が十四五歳の時
9、Resignationの説(余が立場)
10、混沌
一九一〇年(明治四十三年)
1、杯
2、木精
3、牛鍋
4、独身
5、里芋の芽と不動の目
6、青年
7、普請中
8、夏目漱石論
9、花子
10、あそび
11、沈黙の塔
12、食堂
一九一一年(明治四十四年)
1、カズイスチカ
2、妄想
3、鼎軒先生
4、心中
5、雁
6、百物語
一九一二年(明治四十五年・大正元年)
1、かのように
2、『新訳源氏物語』初版の序
3、俳句と云ふもの
4、鼠坂
5、羽鳥千尋
6、興津彌五右衛門の遺書
一九一三年(大正二年)
1、阿部一族
2、訳本ファウストについて
3、ファウスト(ゲーテ)
4、不苦心談
5、佐橋甚五郎
6、護持院原の敵討
一九一四年(大正三年)
1、大塩平八郎
2、堺事件
3、サフラン
4、安井夫人
5、栗山大膳
6、翻訳に就いて
一九一五年(大正四年)
1、山椒大夫
2、歴史其儘と歴史離れ
3、津下四郎左衛門
4、二人の友
5、魚玄機
6、余興
7、じいさんばあさん
8、最後の一句
一九一六年(大正五年)
1、高瀬舟
2、高瀬舟縁起
3、寒山拾得
4、寒山拾得縁起
5、椙原品
6、渋江抽斎
7、空車
8、寿阿弥の手紙
9、伊沢蘭軒
一九一六年(大正五年)
1、細木香以
一九一七年(大正六年)
1、なかじきり
一九二一年(大正十年)
1、古い手帳から
一九二二年(大正十一年)
1、遺言三種
(古典教養文庫について)
古典教養文庫は、日本のみならず広く世界の古典を、電子書籍という形で広めようと言うプロジェクトです。以下のような特長があります。
1、古典として価値あるものだけを
これまで長く残って来たもの、これから長く読み継がれていくものだけを選んで出版します。
2、読みやすいレイアウト
文章のまとまりを、適切な改ページで区切って、Kindleはもちろん、iPhoneやAndroidなどのスマートフォン、iPadなどのタブレットでの読書に最適化しました。また索引を付けましたので、目次から直接アクセスできます。
青空文庫をベースとしている場合も、適切に処理してありますので、そのまま青空文庫の物をダウンロードして読むよりも格段に読みやすくなっています。
3、美しい表紙
プロのデザイナーによる美しい表紙をつけました。書籍と関連づけられた美しい表紙で、実際の本を読むような感覚に浸れます。
4、スピーディーな改版
紙の本と違い、誤植の修正や改訂などすぐに対応でき、刻々と進化を続けます。
5、手に入れやすい価格
「価値ある古典こそ低価格で」のモットーから、古典教養文庫は、一番高い物で300円で、そのほとんどが100円となっています。