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チボー家の人々 (13) (白水Uブックス (50))

価格: ¥924
カテゴリ: 新書
ブランド: 白水社
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希望の星 ★★★★★
 予め活動時間(=寿命)を設定されたロボットが、自分の活動停止(=死)の間際に次のロボットを作る、という短編小説があった。命には必ず終わりがあると分かっていても、余命を限られた時、人間なら何をするだろうか。
 本巻の登場人物のひとりは、恩師の目の中に深い憐憫の影を見て、自らの余命を知る。激しい動揺の末、彼は「自分の足跡を残したいという欲望」に気付く。既に手紙によって、書くことが心を楽にすることは実感していたが、彼の新しい習慣=日記は、「気休め」から未来の一青年への伝言になる。
 そこには思いつくまま様々な事柄が記される。身内の思い出、「つまらない一生の中で一番楽しいものだった」ひとつの恋、星空を見る安らぎ・・・。中でも熱心に語られるのは、米大統領ウィルソンの提唱した国際連盟への期待と、未来の一青年への率直な助言である。「自分が何者であるかを知るには長い模索を要する」とか、常に「懐疑」を勧める姿勢には、読み手でも頷ける。そして安楽死というテーマの最終回が語られるのもこの日記の中である。
 個人的には、未来の一青年の母が日記の主(ぬし)の提案を拒絶した時、それを彼がやわらかく受容した部分が最も好きだった。
 国際連盟は作家の執筆当時ほぼ破綻している。しかし彼は未来に何らかの希望を繋げたかったに違いない。それを受け止められるか否かは読み手の器次第だろう。
ジャックの死、その後 ★★★★★
 チボー家の長い物語の最終巻。レジスタンスに命を投げ出してしまったジャックの遺児、そしてジャックの兄アントワーヌ、残された周辺の人々のその後が語られる。
 世の中を真剣に眺め考え悩みながら生きたジャックと、欲望と親の七光りのレールに迷うことなく乗って生きたアントワーヌの対照的でかみあわないかに見えた人生が、ジャックの死をもって和解を得たようだ。まっすぐに生きたいと願ったジャックのこころがとても切ない。
 13巻という長さを感じさせないチボー家の物語は、ずっしりと心に残る。是非、子供たちに長くのこしたい本だ。