短編が残す余韻は長編では消えてしまうようです。
★★★☆☆
確かにスケールの大きな作品です。中心となる謎は有名な歴史的な出来事をなぞっていますし、登場人物も多数にわたっています。俵藤太は特に魅力的な人物です。ストーリーも多数の登場人物の現在と過去を含み、プロットなり伏線の張り方も振り返ってみると複雑ながらも見事です。難点はというと、どの登場人物も個性があり、魅力的なため、皮肉なことに、晴明と博雅の役割がかすんでしまうようです。もしかすると、「将門」という存在がテーマなのかもしれません。またプロットが複雑だったため、最後に残るなんともいえない余韻は薄められてしまいます。蛇足ですが、ネタを明かさない程度の、人物紹介の図や表があった方がよかったのかもしれません。
最後まで展開が激しく面白かったです
★★★★☆
清明と博雅は何時もの様に目立ってませんが
色々魅力的なキャラクターが出てきて
それはそれで楽しめました。
道満もいい味だしてます。
短編とは違うハラハラさせられる展開でした。
ちょっとゲストキャラに喰われちゃったかな
★★★☆☆
ついに蘇った平将門。彼が何故普通の刀剣が通らない鉄のような身体になったのか、一回りも二回りも巨大な身体になったのか。首を落とされてから二十年、将門復活の為に動いていたものの真実の姿がここに現れた。という下巻なんですが、上巻で源博雅の出番がもっていかれちゃったと嘆いていたのがまだ甘かったように、この下巻ではなんと安倍晴明の出番までもが奪われています。と自分は感じました。
長編なんで、いろいろなキャラクターが出てくるのは全然構わないし歴史上の人物と意外な関係で意外な事件に巻き込まれるというのは望むところの展開なんですが、今回に限っては、なんか博雅・晴明の主役コンビまでもがいいところを奪われて霞んでしまったようでちょっと勿体なかったです。
定番の、
「いこう」
「いこう」
そういうことになった。
というような流れや、博雅と晴明のお互いに対する愛情を感じられる会話もいつものようにありましたが、でもなんだろう、ちょっと喰われちゃったかなぁという気がします。それも将門よりも、俵藤太にもっていかれた感じがありました。もともとは短篇が主体のこのコンビの物語なんで、切れ味でいえば短篇のほうがいいんですけれど長編ならではのもっとうまい二人の見せ方とかは別に会ったような気もするので、楽しんだのは楽しんだんですけれど、ちょっともったいないなぁというのがやはり強かったです。
映画・・・です
★★★★★
このシリーズは、改行を多用し、余白がいいと思う。
余白が、平安時代の優雅さを出している…気がする。
これまでになく、スケールが大きく、読み応えがある。
さすがに人を食べる箇所は、いやでも想像してしまい、
ちょっと…と言う箇所はあるけれど、それはそれで…ってことで。
「呪」とは…
言葉を口にすることで、そこで呪がかかってしまう。
言霊…とでもいうべきか。
相変わらずの、清明と博雅。
いいコンビです。
事の始まりは20年前にさかのぼる。
ありとあらゆることが、ラストにすべてつながっていく。
恨みや憎しみは、最後には悲しみしか生まない。
鬼や化け物となってでも、この世に「復活」したいとは…。
シリーズ最高スケール
★★★★★
陰陽師シリーズでは「生成り姫」に次ぐ長編ですが、今回は上下巻の大作でボリュームもスケールも大掛かりです。
京の都に起こる異変、妊婦が殺され、百鬼夜行が横行し、高官が次々に病に伏す。原因は20年前の大事件に起因する。
死んだはずのその大物相手に清明、博雅、加茂保憲が疾走する。これを助けるのは俵藤太秀郷。高みの見物と嘯きながらちょっかいを出す道満は敵か味方か?
まこと波乱万丈の物語です。シリーズ最高傑作といって過言でありません。
ぜひ!