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陰陽師 太極ノ巻 (文春文庫)

価格: ¥545
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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参りました ★★★☆☆
長編を入れるとシリーズ7作目ですか。著者のあとがきを読むと、著者のこのシリーズに対する或る意味では居直りともいうべき心構えが開陳されています。そうか、「マンネリをおそれない。...ぼく自身が身を置いている現実の季節から始めることになっている」、そういうことだったのですね。今回もバランスよく、春、夏、秋、冬、初夏を舞台とした作品が登場します。謎解きの魅力自体は他のシリーズと同じく二の次です。ここに出てくるのはいつも変わらぬ人間の業です。特に印象的なのは、「棗坊主」です。なんといえない不思議な会話の後につぶやかれる「ま、しかし、一生とはこのようなものでありましょうなあ」という結語はなんともいえない余韻をもたらします。
僕も、清明と博雅の物語に参加したい ★★★★★
 珠玉の短編シリーズ「陰陽師」は、新刊が出るのが待ち遠しい書だ。物語の少ない現代において、遠い過去であるはずの平安時代から妖がやってくる。そんなリアリティを感じさせる、漠さんのストーリーテリングに、夜も寝るのを忘れて読みふけってしまう。
 今回の太極ノ巻でおもしろかったのは、「棗坊主」と「東国より上る人、鬼にあうこと」だ。同じ作者の作品とは思えないほど、時間の流れるスピードが違う。「棗坊主」では、一瞬のうちに50年もの時が封じ込められ、死者すらもそれに気付くことのないような、トリック的な時空が現出する。「東国より上る人、鬼にあうこと」では、後から追っかけてくる妖怪の鬼気迫るスピード感。逆に一瞬が永遠のように感じられる時空間だ。
 漠さんのストーリーテリングの特徴は、一文が短いこと、会話文や思考文主体で進められていくことがある。だから、登場人物に移入しやすく読み手も疲れない。私はいつも一気読みである。
酒を飲もうと晴明の屋敷に呼ばれたならば、何を持っていこう… ★★★★☆
題名に注意の『二百六十二匹の黄金虫』。
不倶戴天の敵かと思っていたのに、案外憎めない蘆屋道満の『鬼小槌』。
  …
鬼たちが蠢いている平安の闇も、晴明がいれば大丈夫。今回も楽しませてもらいました。

「ゆこう」 「ゆこう」 そういうことになった。
このあたりの空気はたまりません。

手土産は、ホタテの燻製なんかどうだろう。
目の前に野村万斎がいるような臨場感 ★★★★☆
単行本は、2003年4月に発売されているということで、3年遅れですね。
もう少し早く文庫本を発売して欲しいですね。

晴明と博雅のかけあいが、まさに映画陰陽師を思い起こさせ、非常に楽しめます。
物語的には、どこかで読んだことがあるような・・・とは思うところはありますが、目の前に野村万斎がいるかのように、読ませてしまう・・・。素晴らしいですね。
映画のDVDを再び見たくなりました。
シリーズ6冊目 ★★★★★
いわずと知れた、安倍晴明と源博雅の「陰陽師」シリーズ、6冊目。
 3時間もあれば読めてしまうような内容ながら、毎回文庫で出るたびに買ってしまうのは、どうしようもない人間の業や哀れさが描かれているからでしょう。だから、ときどき再読したくなり、引っ張り出してきます。ただ、今回は、そのあたりのはかなさがやや薄いように感じられたので、星4つとしました。
 けど、文句なしに一気読み、面白さは相変わらず。人の業が表れているという点で「鬼小槌」、民話などでもよく出てくる“覚”(人の心を読む妖怪)と晴明との対決が読める「覚」が個人的には面白かったです。