ドイツ空軍の第二次大戦
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1939年から1945年までの6年間にわたった第二次世界大戦において、独裁者アドルフ・ヒトラーに率いられたドイツ軍は、北欧(ノルウェー、デンマーク)、東欧(ソ連、エストニア、ラトビア、リトアニア、ポーランド)、西欧(フランス、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク)および地中海戦域(ユーゴスラヴィア、ギリシャ、エジプト)で戦い、その多くを一時的に支配下に置いたが、戦車や歩兵、砲兵などの地上部隊の進撃を空から援護したのが、ドイツ空軍(ルフトヴァッフェ)だった。
灼熱の砂漠から酷寒の雪原まで、ドイツ空軍の航空機はあらゆる戦場で与えられた任務を果たしたが、人員と機体の消耗、連合軍爆撃機によるドイツ本国の燃料精製施設の破壊などにより、その戦力は次第に低下していった。そして、大戦末期には画期的な新型ジェット戦闘機を導入したものの、戦局を挽回するには至らず、最後は燃料もない機体が地上に放置されたまま、敗戦を迎えることとなった。
それでは、ドイツ空軍にとっての第二次大戦とは、どのような戦いだったのか。彼らはどのような装備で連合軍と対峙し、いかなる戦術・作戦・戦略に基づいて任務を遂行していたのか。
本書は、第二次大戦におけるドイツ空軍の戦いを、わかりやすく解説した記事です。2007年6月、学研パブリッシングのムック『ドイツ空軍全史』の収録記事として、B5判25ページで発表されました。また、同誌に収録された分析記事「ドイツ空軍はなぜ、戦略空軍になれなかったか」(B5判7ページ)も、付録として巻末に収録しました。
本書を一読されれば、第二次大戦とその前後の時期、ドイツ空軍がどのような戦場で戦い、どんな問題に直面していたのか、どのような戦略構想に従って創設され、それは実際の戦争でどう機能したのかを、俯瞰的に理解できるであろうと思います。
なお、本書は通常の戦史ノートに換算して、約2.5冊分の文量を含んでおり、価格が350円となっています。
《目次(見出しリスト)》
《第一章》「ドイツ空軍」誕生からスペイン内戦まで(1920〜1938)
◆再軍備に向けた深慮遠謀
◆ソ連で産声を上げた新生ドイツ航空隊
◆ドイツの航空機産業と再軍備宣言
◆「張り子の虎」の航空戦力
◆スペイン:ドイツ空軍の完成
《第二章》電撃戦の勃興と英国本土上空の戦い(1939〜1940)
◆ポーランド:予想外の苦戦
◆ノルウェー:大活躍した輸送機隊
◆オランダ:ロッテルダムの悲劇
◆フランス:ダンケルクの誤算
◆イギリス:最大のライバル
《第三章》酷寒のロシアと灼熱の北アフリカ(1941〜1942)
◆クレタ島:運命の空挺作戦
◆ロシア:電撃戦の最盛期
◆巨大すぎる獲物との格闘
◆北アフリカ:マルタを襲う鷹
◆大西洋:米英輸送船団との戦い
◆包囲された味方部隊への大空輸作戦
《第四章》米英航空戦力との決戦と衰亡(1943〜1945)
◆ドイツ本土防空戦の開始
◆焼かれる都市と損失機の増大
◆地中海戦域:色濃くなる敗色
◆ノルマンディー:圧倒的な劣勢
◆「報復兵器」とジェット機の登場
◆束の間の栄華:Me262
◆ボーデンプラッテ:最後の煌めき
◆ドイツの敗北と空軍の壊滅
《第五章》戦後のドイツ空軍(1946〜)
◆東西分割を経て復活した荒鷲
【附録】ドイツ空軍はなぜ、戦略空軍になれなかったか
◆ドイツにおける戦略空軍構想
《戦略空軍を目指したドイツ空軍》
◆ドゥーエ理論と空軍の再建
◆クナウスとヴェーファーの構想
◆「ウラル爆撃機」の開発構想
《戦略転換と第二次大戦への突入》
◆ヴェーファーの死と技術的限界
◆二人の元戦闘機乗り:ゲーリングとウーデット
◆コンドル軍団のゲルニカ爆撃
《甦った「戦略空軍」構想》
◆英国本土決戦で露呈した限界
◆ゴーリキーへの戦略爆撃
◆「二兎」を追わなかったドイツ空軍