アロマにできること 認知症・介護編
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これはリケジョの書いたアロマの本です。認知症や介護の現場でアロマが活躍するって知ってますか?
【はじめに】
最近よくきく「少子高齢化」。2012年には400万人台だった認知症患者数は2025年には700万人に増えるといわれています。この数は全日本人のうち6%が認知症患者であるという数になります。少し分かりずらいかもしれませんが、20人に1人が認知症だときくとどうでしょうか?今現在、自分が認知症でない、また認知症の方が周りにいないとしても、「他人ごとではない」と思いませんか?
私は以前ある企業でアルツハイマー病に関しての研究をしていました。いわゆるリケジョです。私は医療従事者ではありませんが、企業の研究員としての立場から、アルツハイマー病の発症メカニズムの解明と早期発見、早期治療の方法を模索していました。しかしこの病は想像していた以上にやっかいでした。
原因と考えられる物質やリスク遺伝子は見つかるものの、根本治療の方法は見つかりません。治療法がないのであれば早期発見になんの意味があるのか…。研究に行き詰まりを感じていた頃、結婚、出産、子育てをすることになった私は、タイミングよく発表された会社からの希望退職募集に応募し、同時に研究者としての道にもピリオドを打ったのです。
けれどもあれから10年近くたった今、アロマを介して、別の形で認知症と対面しました。
私は初めてアロマを使い始めたとき、アロマ(エッセンシャルオイル)にこんな可能性があるとは考えてもいませんでした。「優雅な奥様のお遊び」だから私には関係ないと思っていたくらいですから。
でも、いざ取り入れてみると、確かにいい!何より、子どもの風邪やちょっとした不調を、とりあえずオイルを使ってみると、かなりの確率でよくなってしまうのです。医者やドラッグストアに行く回数が確実に減ったことが、子育て中のストレスをかなり減らしてくれました。
さらに介護の現場で使っている方の話を聞いて、この結果を世に知らせたいと思いました。なぜかというと、介護の現場でオイルを使うことはとてもいい、ということはいろいろな方から聞くのに、施設の理解が得られず、なかなか取り入れることができない、と聞いたからです。これは、報告例が少ないからではないかと思いました。
施設からの理解が得られないのには、いくつかの誤解があるように思います。それは
1.エッセンシャルオイルは高い
2.使うのが難しい
3.効果が期待できない
といったものです。1に関しては確かに高いオイルもありますし、今までかけていなかったお金をかけるのは大変でしょう。ですが、介護のストレス軽減、介護する側、される側のコミュニケーションが円滑になった、などの効果はそれを上回るように感じました。2に関しても、原液塗布禁止、飲用できないオイルだと気を使いますが、きちんとした品質のものを選べば、そう気を付ける必要はありません。3については効果は本書で示す通りです。こんなに良いもの、ぜひ一度取り入れて見てほしいと思います。
20年ほど前、私がアルツハイマー病の研究に足を踏み入れたころ、認知症、特にアルツハイマー病の発症原因と考えられる遺伝子やタンパクが次々と発見され、アルツハイマー病は完治させることができると期待されました。が、話はそう簡単にはいかず、未だに認知症を完全に治す方法は見つかっていません。であれば、認知症の進行を遅らせたり、介護する人、される人が少しでも気持ちよく過ごせるようにしていくという道を探るほうがより堅実なのだと思います。
【目次】
はじめに
1.認知症って何なの?
2.認知症って予防できないの?
3.香ればいいって物ではありません
4.アロマが薬?
5.アロマはどうやって体に作用する?
6.アロマは認知症に効くのか?
7.介護のためのアロマ
8.こんなときにはどんなアロマ?
おわりに
著者について
【著者について】
著者 さくらばゆう子
埼玉大学理学部卒業。研究用試薬製造メーカーに勤めながら、群馬大学大学院にて保健学修士号、博士号を取得。アルツハイマー病関連研究の論文、学会発表経験多数。
2011年、会社組織で働くことに疑問をもち退職。その後、コーチング、フィナンシャルプランニング、アロマ等を学ぶ。日本アロマ環境協会(AEAJ)アロマテラピー検定1級、社)JEOSエッセンシャルオイルアドバイザー、上級アロマスタイリストなどの資格を持つ。
監修 山上徹也 群馬大学大学院保健学研究科 リハビリテーション学講座 准教授
2007年、群馬大学大学院医学系研究科保健学専攻博士課程修了。脳血管障害、骨関節疾患などの理学療法が専門 (生活環境支援の専門理学療法士)。また、地域や認知症ケアの現場で認知症発症・進行予防のための脳活性化リハビリテーションを研究・実践している (認知症ケア上級専門士、認知症予防専門士指導者)。