「お母さん、ただし、条件があります。療育へ通ってください」
「えっ？・・・療育？・・・ってなんですか？」


息子のソラが3歳の頃、保育園で自閉症の傾向があると告知された後、本を読み漁り、インターネットで調べたり、とにかく自閉症とはどんなものか？と情報を集めました。

そのうち、発達障害や自閉症スペクトラムといわれるものの特徴や傾向もなんとなくつかめ、サポートするための制度も少しずつだけれど整い始めていることを知ることはできました。

しかし、それでも、私の不安や疑問、困った感は、健在（？）のままでした。

これから、どうやってソラを育てれば良いのだろう？
今、パニックを起こしているソラを手助けする方法は何だろう？
私たち両親がソラに出来ることは何だろう？
この子達はどんな風に育っていくの？
他の人は、この子達をどうやって育てているの？
この子達の親は、今どんな風に感じているのだろう？

そんな疑問の答えを求めて、発達障害児を育てている同世代のお母さんたちに相談したり、愚痴を言い合ったり、先輩お母さんたちの体験談を聞いたりしてきました。

もちろん、一言で発達障害と言っても、3つの特徴があると言われても、それぞれの子どもによって、障害の形や、困難さは異なっています。だから、誰かの成長録や体験談がそのままソラや私達家族に当てはまるわけではないのです。それでも、いろんな機会で耳にした体験談やアドバイスの中から私たち家族に当てはまる内容を、選び取り、吸収し、応用しようとしてきたことは、後々にソラと私たち夫婦の大きな助けになってきました。

ソラを育ててもうすぐ14年になります。この14年間、ソラと私たち夫婦、3人で右往左往、七転八倒しながら歩んできたからこそ、学んだこと、感じるようになったことがたくさんあります。この本では、その一部をお伝えしようと思います。何よりも驚き、戸惑ったあの時の前後のことを、お伝えしようと思います。

自閉症の告知の前と後のこと、
そして今だから見えること、伝えたいこと。

この本では、ソラの障害のお話もしますが、障害の有無に関わらず、日々子育てに奮闘するお父さん、お母さんに向けてお話します。

このお話が、子どもたち、お父さんたち、お母さんたち、そして周りの方々が、日々、のびのびと笑顔で過ごすヒントになれば嬉しいです。

潮路愛帆