The Light: 福島から世界に贈る感謝と光のメッセージ
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―感謝を込めて贈る福島の光―
2011年3月11日、東日本大震災。
福島では、その日、今まで経験したことがなく、予想もできないような巨大地震がおこり、大津波が押し寄せ、美しい自然や海岸線、のどかな民家や田畑をも飲み込んでしまったのです。
そして、多くの方が亡くなり、今もなお、行方が分からないままになっている方もいます。
さらに、東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響で、県内外に避難を余儀なくされ、未だに多くの方が仮設住宅で暮らしています。
震災後は、地域によって違いはありましたが、水、電気、ガスなどが供給されない不便な生活、日常生活用品が十分に手に入らない生活が、一か月以上続いたところも多くありました。
支援が早急に進められるようにと、こうした被害状況や人々の生活の様子が、様々なメディアを通して発信されました。
しかし、その情報や映像が、時にあまりに衝撃的だったこともありました。特に、津波が海岸から街を飲み込んでいく映像を見ていた海外に滞在していた日本人の方の中には、日本全土が海に沈んでしまったと感じたほどだったという話を聞いたことがありました。どれほどの恐怖感や不安感に襲われたことでしょう。
その後、東日本、そして福島の被災地には、心がこもった支援物資が日本中、そして世界中からたくさん届けられました。食事の差し入れ、炊き出しにも多くの方の協力がありました。
復興作業のために、多くのボランティアの方が被災地に来て、活動を続けていました。
それらの支援は、人々を救い、励まし、勇気を与えてくれました。
本当の意味での復興は、まだ時間がかかることでしょう。しかし、今、福島の人々は、一歩一歩前進し、
『より素晴らしい、愛する故郷、福の島、福島』を創るために努力を続けています。
徐々に若者たちが、被災地に戻り、新しいふるさとづくりのためにユニークな発想や行動力を発揮しています。また、震災直後の風評被害のなか、米作りを続けたベテラン農家の方々や地元の農業を愛する方々のお蔭で、多くの方がふるさとの農業に情熱を注ぎ始めています。さらには、震災をきっかけに、様々な分野で新たなチャレンジがなされているのです。
震災が起こったとき、私は福島県内の特別支援学校の教師として、生徒たちと一緒に学校の三階の教室にいました。
大きな揺れが長く続いた地震。
やっとの思いで小雪が舞う校庭への避難。
その後、数日後の卒業式の準備が整った体育館で、生徒たちと過ごした時間。
体育館でも余震におびえたことなど……。
ふと思い出すことがあります。
また、私は、世界的組織を持つ奉仕団体に所属していたことから、全国、全世界から支援したいという連絡を受け、具体的な調整や活動に関らせていただくことになりました。
震災後の苦難、困難は、言葉では表現できないものがありました。
しかしながら、そのような状況でも、心温まる物語や感動する出来事がたくさん生まれていたのです。
この本では、仲間との支援活動で出会ったそうした物語やメッセージを、感謝の思いを込めて綴ってみました。
多くの皆様にお届けすることができればうれしく思います。
~目次~
まえがき
1.心を癒した本の贈り物
2.結い
3.ふるさと
4.勝浦への招待
5.恩送り
6.ウィーンからの優しい風
7.ニースの光
8.絆
9.祈り
10.葉っぱのフレディ
あとがき