ウアズ バン トラック クロスカントリービークル
価格: ¥0
いわゆる東側諸国ではポピュラーな四駆のバン・トラックなのに日本では希少車です。オフロード四駆としては優れたUAZですが車の製造品質では世界一の日本にあっては細かく見ると語るに落ちる仕上げの車です。しかし悪路をものともせずに人や貨物を運ぶ道具として見た場合は優れた面も多くあり学ぶべきところもあります。何を四駆に求めるかによって評価が極端に変わる車です。この四駆が長年に渡り大量生産されて軍用・民間用として使われて、現在も現役なのも事実です。
このUAZというのはウリヤノフスクの自動車工場の意味です。創立は1941年でモスクワで軍用車の製造を行いその後他の軍需工場と同様に東へと疎開してウリヤノフスクで軍用車や弾薬を製造しました。戦後は一貫して小型の四駆を開発生産して1958年に452型という四駆トラックの開発を行い、それ以来この四駆バンと四駆トラックそしてジープタイプの3車種を生産してきました。あまり西側には輸出されなかったのですが旧ソビエト連邦内はもとより東側の各国では軍用・民間用共に広く使われて今も現役。社会体制として産業が分業化された結果で初めから四駆専業メーカーです。ランドローヴァーも四駆専業でするが元々は乗用車メーカーから分かれてきたものです。いわゆるロングセラーと言われる車がある。フォードのF100ピックアップ、フォルクスワーゲンのビートルあるいはオースティン・ミニなど。しかし、その姿が変わらないまま半世紀も作られたものではなくただ名前が継承されているだけ。ところが、このUAZが作る一連の四駆はなんと60年以上にも渡って基本設計とスタイリングが変わっていません。しかしただの骨董ではなくてエンジン、ドライブトレインそしてサスペンションなどは地味ではあるが時代に合わせた改良は行われています。ブランド物ではないけれどマニアにとっては面白い四駆です。
本書の本文はCCV-53/60/61/71に掲載されたものと模型専門誌アーマーモデリングに掲載したものですが必要な部分については加筆してあります。写真には新しいものもあります。ほとんどが絶版ですが紙の本をお持ちの場合には内容の一部が重複します。メカニズムについて図版と共に説明しましたが、今回の電子化に伴い追加した情報も含まれています。相変わらず美文ではありません。文字数は主要諸元表も含めて約24,900文字、写真は試乗時の写真や構造を説明する図版を含めて68点です。2-4点を合わせた画像も使っているので実際の画像点数は80点くらいです。
CCV(クロスカントリービークル)関連の電子書籍は主にメカニズムがユニークなオフロード四駆について解説した資料性のある本と車全般についてのエッセイに類する本です。いずれもベースとなっているのは1990年から2008年にかけて出版された四輪駆動専門季刊誌CCVです。四駆の愛好家と言っても様々ですが私が興味があるのは機能を重視している反面装飾性の少ない四駆です。よって、あまり車の構造やオフロード走行に関心が無い方には偏った内容で面白くないかも知れません。amazon.co.jpで「石川雄一」を検索し著者ページをご覧になってください。あるいはWikipediaにも「CCV」という項目がありますので検索してみてください。 CCVは1冊1800~2000円という価格でしたが自動車専門誌としては異例にも広告掲載料に依存しない内容でした。ですから内容は正確であり実際にオフロードで走らせての内容でしたので読者さんには支持されました。筆者は文科系の人間ではなく機械好き・オフロード好きから間違って出版・執筆を始めてしまい、それを30年以上やって来ました。内容は正確だと自負していますが美文を書くのは極めて不得意です。また自分の考えを通すために商売としての出版は下手でしたのでアチコチに気を遣った内容にはなっていません。本来正しい事を伝えるべき出版が拝金主義やビジュアル優先で歪んでしまうのは根本的に間違いだと思っています。
電子化では本の体裁もいろいろと試しましたが電子書籍では読者さんが読むのに使う機材がスマートフォンからタブレットPCと様々なので凝ったレイアウトをやっても無駄だと判断して文章と画像を並べただけのプレーンなものにしました。表紙も店頭で目立たせる必要も無いのでこれでいいと思います。文字や写真も拡大・縮小が可能なフォーマットにはしてあります。
CCVのバックナンバーは弊社で在庫して通信販売を行っています。しかしCCV15以前は絶版ですし残っている号も少なくなっています。 弊社の在庫に対してのお問い合わせの多くは特定の四駆にご興味があって、その記事を求められる方です。専門誌1冊丸々が欲しいのではなく1件の記事だけの需要です。しかし、その記事だけをコピーして郵送することは版元であった大日本絵画さんの著作権の侵害になります。そこで記事を電子化しながら再編集してご提供させていただこうと思いました。過去の記事がベースのものは文章を現時点に合うように最小限の書き換えも行っています。写真もオリジナルがフィルムであったものをデジタル化したものもありますがCCVの記事ではモノクロだったものがカラーになっているものもあります。ということで私たちのように狭小な分野の情報を頒布させていただくには電子化しか方法はありません。このことから価格は低めに設定しています。ご興味を持たれた方はどうぞお読みください。また紹介する四駆の中には古いもの、軍用などで一般的ではないものもあり日本ではあまり知られていないものもあります。そのような紙の出版では扱われる可能性の低い車両についての情報を廉価かつ継続的に提供するのはこの分野の車両の産業機械としての文化を将来に向けて継承させるために意義あることではないかと思っています。