だれでも、抱擁はされたいよなぁ。
★★★★★
思うとおりになんかいかない。
そんなに高い望みだとは思わない。
けれども、それもかなわない。
これだけの内容を無責任に書けるわけもなく、
おそらく徹底した取材で、
かなり研究しているのだろうと思う。
その分のリアルさが、
鳥肌が立つほどの深い感を誘う。
幼児虐待、DV、殺人・・・、
もちろん言い訳もできない犯罪である。
あらゆる犯罪において、
もっとも被害を受けるのは、
いつでも社会的弱者である子どもたちである。
保護されるべき、
保護されたい子どもたち。
その子たちが、
保護者によって歪められた。
どんなに彼らを取り巻く状況や、
保護する側が言い訳しようと、
子どもたちのとってはつらく冷たい記憶にしかならない。
そして、
その記憶は、
彼らの生きる支えにはならない。
すべての人がそんな苦い記憶を持っているわけではない。
しかし、
何らかの、共感・共苦があると思えてしまう。
そしてきっと、
人はだれも、
誰かに抱擁されたい、
そう思っているに違いない。
「力」がみなぎった作品
★★★★★
2000年度版このミス10 1位。
1999年文春ミステリーベスト10 2位。
2000年 第53回日本推理作家協会賞長篇部門
第121回直木賞候補作品
作者の代表作品。
直木賞の選考では、選考委員の大先生方に「作品が長すぎる」「子供同志の会話が子供らしくない」等々の評価を受けたようであり、実際読んでみると、なるほどその通りである。しかし、その不器用さゆえ、読者に強いメッセージが伝わっているように思う。作品自体は過去と現在に起きた殺人事件を軸に展開するミステリーとなっているが、まず作者が作品を通して伝えたいメッセージがあり、その表現方法としてミステリーを選択したように感じた。とにかく「力」がみなぎった作品である。
何だか
★★★★★
現在の話より、過去の話のほうが面白い。
子供の心理が上手すぎますよ。よっぽど研究したんだろうな、ということがひしひし伝わってくる。さすが教祖。
淡々と真相へ、ラストへ
★★★★☆
一気に読み終えたが淡々としている感じを受けた。あとは過去も現在もラストに向かうだけである。さて、どうなるかと言う展開。
聡志の動機、優希の決意、笙一郎と梁平、それぞれの想い。向かう先はどこなのか。そして事件の真相は。全てが予定されたかのように消化されてしまう。
優希の思いと決意にも共感を得ることが出来るか。ここまで読んできた上で彼女の人間性が読めてきたが、まだそうでない部分も多いだろう。分かっちゃいないが。自暴自棄にもなったのは笙一郎。自分に素直になれないのは、誰でも同じなのか。
梁平はどうするのだろうか。開き直りともとれる勢いと、凄惨で淡々とした四巻の終わり方。そこまでもストーリーを発展させる。とは言ってももう架橋、そろそろ終わる。終わるのか?と言う疑問もあるが後は一気に流れる。
取りあえず、ラストに向かう面白さと楽しさは受け取った。優希の心理描写は秀逸だが、笙一郎と梁平が淡々で盛り上がりには欠けるか。終わり方だけは次に繋げると言う展開ではあったが。ラストには自分は素直にいいと思ったんでまあ評価はこんな所か。