どんな育児書よりも。
★★★★★
初版時に読了。
でも、ずっとレビューを書けませんでした。
簡単には言葉にできない深い読後感。
虐待を受けた子が心に刻みつけていく傷口を
丁寧に描写しています。
長編です。
未読の方は、すべてが解き明かされるラスト5巻まで
どうぞあきらめずに読み進めてみて下さい。
きっと心に「何か」を残すはずです。
これから親になる人、今子育て中の人に特にお薦めします。
子育てをする時に最も注意しなければいけないのは、
その子の心に、親の手で「傷」をつけないこと。
どんな育児書よりも雄弁にそれを語っています。
日本推理作家協会賞受賞作。
生きるって、こんなに切なかったっけ?
★★★★★
今年の直木賞を受賞した、天童荒太の作品。
前から気になっていた作家でした。
行きつけの古本屋で上下¥200で発見。即買い。
しかし、¥200で購入したことを申し訳なく思わされるような、素晴らしい作品でした。
この「永遠の仔」。
単行本は二段組みで、上下2巻。
結構な厚さですが、2日間くらいで読み終えました。
読んでないときは、
何をしてても話の続きが気になり、手に付かない。
読んでいるときは、
病院で順番待ちをしているときも、自分の名前を呼ばれても気付かない。
周りの音が一切、入らなくなるような不思議な感覚。
それほど、この本の中に入ってしまうのです。
そして息を詰めるように読みすすみ、優希、モウル、ジラフの生き方を見つめる。。。
この作品は、ミステリーなのでしょうか?
私にはもっと違うように思えます。
長い長い物語を読み終えたのは渋谷の喫茶店。
こみ上げてくるものもありましたが、一番は
切ない。
切ないよ。
生きるって、こんなに切なかったっけ?
本当に読みごたえのある作品でした。
おすすめです。
作品に強く引き込まれる。
★★★★★
優希は下山途中、2人の少年と父親を殺した。17年後に、2人の少年と偶然の再会をし、当時の記憶が強く思いだされる。第1巻では再開までのストーリーが描かれる。作品に強く引き込まれる。
救いがほしい
★★★★★
5巻という気の遠くなる小説かと思いきや、皆さんのレビューにあるようにあっという間に読みきった。
早く読みたいなと気が気でなく。
優希の父親・母親を、幼少の優希の立場から描写される前半では、どんなにひどい人たちなのかと思っていた。
途中、父親の苦しみや、優希への愛情、家族への愛情がありあまるほど。それにも勝てない父親の心の弱さの露呈。
最後で判明する母親なりの苦しみ。今までの言葉の意味。
優希・ジラフ・モウル、この心に闇を持つ3人に共通するのは、幼少期に関連した親の心の弱さ、未熟さ、にある。
それでも、子供は親を求める。
子を持つ親となる時、子供らの幼少期のこの繊細な感情を思い出し、子供の心に闇をつくらないように努めたい。
優希・ジラフ・モウル、最後は幸せに終わってほしかった。
あんなに苦しんだのに。
負の連鎖を断ち切るにはどうすればいいのだろうか。
現実に起こっているであろう社会問題に心が痛んだ。
1巻だけでも
★★★★★
天童荒太の他の作品が読みたくて、
古本屋にあったこの作品にしました。
話題になった小説だったのに、
まったく内容を知りませんでした。
またしても負の文学。
あまりにもすっきりとした文体。
さわやかささえも感じられるその文体。
にもかかわらず、書かれている内容の醜悪さ。
リアルな分だけ、背筋が凍る。
謎の一つは、
ほぼこの1巻でわかってしまったが、
過去と現在の行き来が見事で、
ガンガン引き込まれました。