インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

ゲーテとトルストイ (岩波文庫)

価格: ¥1
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
Amazon.co.jpで確認
世界最強決定戦 ★★★★★
 マンといえば、ロシア文学でアンナ・カレーニナを「一遍の無駄もない完璧な作品」と評したことで有名であるが、本書でもやはりトルストイへの愛を様々なエピソードで語り、トルストイの読者を大いに満足させてくれる(すいません私ロシアの方が得意分野ですので・・)。史料価値としても大いに役立つ。
 それにしてもこの本の登場人物の豪華なことと言ったら!!ゲーテとトルストイは勿論、シラーやドストエフスキー等史上最高の、そしてゲーテとトルストイの最強のライバルが対比されながら描かれており、シラーやドストエフスキーのファンも十分楽しめる。(普通トルストイとドストエフスキーを描くと、必ずに近いほど一方をけなし他方を褒めるのだが、本書では偏っていない。これは非常に珍しいことだ)登場する本は世界史上最高の評をほしいままにしてきた超傑作のオンパレードであり、文学衰退期に生きる我々からするとこんな文学がきらめいた19世紀に郷愁と憧れを感じる。マンもおそらくその様な気持ちで本書を描いたに違いない。
 
お調子者トルストイが誰かの背中に飛び乗った? ★★★★★
マンがゲーテの崇拝者または批判者または片思い者である事は、夙に知れ渡っていますが、この本を読むとドイツ人マンがそれに引き比べて、ロシアの文豪に対してどういう感情をもっていたのががわかります。

一八二八年ドイツに漫遊旅行に来たトルストイがワイマルの中学教師ユーリウス・シュテッツアーの2時間目の教室に突然入ってくる。このギムナジウムの教師はそれを遡る事三十三年前、明るい部屋着を着てオー・ド・コロンの匂いをさせたゲーテに、一六歳の少年時代、エッカーマンの手引きの元、憧れのゲーテ家の庭で胸を震わせて他の少年達と一緒にこの文豪に出会った事があった!

こうした作家本人の両者に対する因縁を、この教師の体験に重ね合わせたような語り起こしから始めて、数々のエピソードがイキイキとまるでその目で見て来たかのように語られ、この随筆を読む者の目を、そしてこの講演を聴く者も耳を魅了したであろう事が知られます。

トルストイの奇想天外な調子はずれな大騒ぎの結末が、舅のベールスと冗談を言って部屋の中を歩き回った挙句、彼の背中に飛び乗った?

このあたりの語り口の絶妙はまさにマンの醍醐味。おもしろいです。是非ご一読をお薦め致します。