まず関西弁であけすけ、正面から切り込んでいく攻の哲哉と、たいして標準語におぼっちゃま、不倫に密かに悩む友達のいない受の遠山というカップリング設定が最高。
徐々に心を開いていこうとする遠山と、そんな遠山に正面切ってバーンとぶつかっていく明朗快活な哲哉。
二人がどういう会話をして、どういう風に心を通わせていくのか。
読み始めから興味津津であっという間に読み終わり。

遠山の閉じこもっていた性格から次第にはっきりとものをいう性格に変わっていく様も健気だし、それを何だかんだと陰ひなたなく見守りつつ、好きだという気持ちはあからさまの哲哉もほほえましい。

設定が大学生なので、よけいに青春！

後半は「わけを知りながら」というその後ストーリーが収録されています。
遠山の長い間の恋人であった男が遠山にたかることを辞めずに、ついには遠山に手を出そうとする。
そこへやってきた哲哉が追い払うという感動シーン。
哲哉のセリフがおもろいと同時に「この男、かっこいいじゃん」と思わせる男ぶり。

たまにちょろっと入っているギャグテイストなセリフがまた哲哉と遠山の関係に、淡々としてるけど何か熱いものがあることを教えてくれる。

貧乏学生の哲哉×お金持ち学生の育
アンラッキーな出来事の連続にやけ酒で酔っ払い、居酒屋で隣にいた同じ大学の学生に絡んだ哲哉。その相手は学内でも有名な金持ちでキレイな顔した育だった。その後、偶然に深夜雨の中を立ち尽くす育を見かけた哲哉は、放っておけず自宅に連れ帰り…。
年上の妻子ある男と不倫関係にある育の、孤独と焦燥と自虐的な恋愛を知った哲哉は、最初自分の気持ちに気付かぬまま育にかまうようになります。育もこのままではイケナイと、事態を変えたい変わりたいと健気に思い始めます。
出だしは哲哉がちょっとガサツなキャラ?に思えたけど、どうして男前で優しくてイイ奴。バイト先の描写など人柄がわかってよかったです。
育の不倫相手がかなりヤなヤローだったので、哲哉が怒鳴りつけるシーンで溜飲が下がりました。こーゆー時はやはり関西弁か(笑)社会人になっても仲の良い恋人同士だろうなぁ、と予感させる終わり方でした。