京のおんなは優しげだ、という話は「台所のおと」に。
露伴に聞いた流体のふるまい、子供の頃川に落ちた話、大井川の氾濫は、人と時間のうつろいを水とたとえることとなり、「流れ」に。
大崩壊地を訪ねた話は「崩れ」に。
露伴の「五重の塔」は塔の再建に。
そして塔の再建で知遇を得た宮大工に材を教わり、生きた木を見るようになり「木」ができる。

千に一つの無駄もなく育てたのか、幾万もの種から数本をより分けたのかはわからないが、これと思った題材を長い時間と手間をかけて育て上げた様子がわかる。