五経に通じる陰陽の哲学にも言及
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礼記から独立して編纂され、論語・孟子と合わせて四書とされたという『大学・中庸』を、朱子の改訂以前の形で白文・書き下し文・現代語訳の三種の文を収録しています。本文の前には詳しい解説が付され、注も各文の後に多く付き、朱子による「章句」も抄録しているのが、本書の特徴です。
『大学』は四書の中で最も字数が少なく、論語の句や詩経などのほかの書からの句を引用しながら、自分自身の処世や考え方を整える事から天下を平らかにするまでの論語と処世術との関連を述べたものです。論語の句が断片的である事に対し、『大学』は後世の立場から首尾一貫した社会・国家観を書き上げています。その分、体系的な長い文章となっており、『大学』は「論語」にあった短くも深い思索・エッセンスを幾分変化させて論述調に変わっています。
『中庸』は、中庸にある事自体の重要さを示す部分と、至誠であることの大事さを示す部分とで哲学的に叙述が分かれ、後者では宇宙論にまで発展していく広がりがあります。しかし、『中庸』もまた「『大学』と同じく、論理的に首尾一貫しようとする文体になっています。"礼記"にもある宇宙が陰陽の二つの要素にて構成されて行くフィロソフィーが背景に活かされ、四書・五経が互いに共通のフィロソフィーでリンクされている事を感知する事でしょう
大学は本当にわかりやすいです
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表現も平易で独学の身でもほぼ意味がとれました。対して中庸はほんの少しだけむずかしい気がします。
自分は四書は論語から入ったのですが、論語のある側面をわかりやすく解説されていると感じました。なんとなくですが古注論語とは言いたいことが違う気もしますが、これは朱子の言いたかったことなんだろうなと考えれば一つの答えなんだと思います。
宇野哲人さんの論語新釈を読むと大学と論語がつながっているように感じられるのではないでしょうか?
初学者なのに生意気っぽいのはお許しください
より論理連関を意識した儒学の経典
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「論語」を読んでから、自然にこの文庫に手が伸びた。
朱子によって論語・孟子と合わせて四書とされたという大学と中庸を、朱子の改訂以前の形で白文・書き下し文・現代語訳の三種の文を収録している。本文の前には詳しい解説が付され、注も各文の後に多く付き、朱子による「章句」も抄録している。
「大学」は、論語の句や詩経などのほかの書からの句を引用しながら、自分自身の身のこなしや考え方を整えることから天下を平らかにするまでの相互の関連を述べたもの。論語の句が断片的であるのに対して、後世の立場からある程度首尾一貫した社会観や国家観を作り上げている。その分、論理的には体系となっているようにも思えるが、なにか「論語」にあった重層的な思索が幾分失われているように見える。
「中庸」は、中庸にあることの重要さを示す部分と、至誠であることの大事さを示す部分で印象が違い、後者では宇宙論にまで発展していく広がりがあるだけ、正直自分にはよく掴めない内容だった。どちらの部分も「大学」と同じく、論理的に首尾一貫しようとする文体になっている。
江戸時代の少なからぬ人々がこの著書を読んでいたことを思うとなにか彼らの意識に近づけた気がするし、変なことだが、ここでの話しの成り行きを辿ると落語のことが思い浮かんできた。ここでの少し浮き上がった論理の連関をひっくり返せば、長屋の隠居様と熊さん八つぁんの問答が聞こえてきそうだ。
もちろん儒学の経典として自分に引き寄せて考える基にもなる一冊。
政治家になるには四書は必読です
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四書は人生ないしは政治の基本書です。幕末の日本を明治維新へ導いた原動力はここにあります。政治家を志そうと思う方必読の本だと思ってほしいです。
修己治人とはよく言ったもので、自分の修養をなさずして人を差配できはしません。
朱子学などといえば古臭い江戸時代の学問と思うかもしれませんが、一読すれば普遍的な政治哲学であることに気づかされます。
いかに今の民主主義政治が似非であるのかがよくわかりますよ。
TOCと相通じるものが
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心のTOCとでもいいましょうか。
物事をシンプルにとらえること、当たり前のことを気づかせてくれます。
心が落ち込んだときに読んでも可です。