色即是空の正しい理解のために
★★★★☆
最近、初めてダライ・ラマという人物に触れ、
彼の肉声もDVDではあるが、初めて聞くこととなった。
結論から言おう。ダライ・ラマの般若心経解説は良い所を付いている。
例えば、日本の有名な高僧の般若心経の訳は、読んでいて正直、
意味がわからない。
「あると思えばない。ないと思えばある」
或いは「充実した無」などと言われても、
なんだかソフィストの詭弁を聞いているようである。
恐らく、書いている本人も意味がわかっていないと思う。
仏陀は、そのような観念の遊戯に陥るような不可解なこと、
意味のわからないことは説かなかったはずである。
(※勿論、般若心経は仏陀が直接書き記したものではないが…)
私がこれまで読んできた数多い般若心経の解説本の中で、
最も心が真実だと告げている般若心経の解釈は、
昭和の仏陀と言われた高橋信次師の解説と、
その一番弟子である園頭氏の解説である。そして、
ダライ・ラマの「空」の解釈は、表現こそ違うが
高橋信次師や園頭氏と本質的に同じことを言っている。
つまり「空」とは「ないこと」ではなく、「相互依存性」の
ことであると。
高橋信次師は、これを物質界(=色)と実在界(=空)の
相互作用として説いている。
つまり物質界と実在界は相互に影響を及ぼしながら存在する
という事実だ。この理解は霊視が出来れば早い。
ダライ・ラマも、宇宙に独立して存在するものは何もなく、
すべてが相互に依存しながら存在するという。
ダライ・ラマは敢えてオカルト的な解釈をされかねない
霊的な側面の発言は避けているが、
恐らくは瞑想によって物質界と実在界の相互依存を
感得していると思われる。
DVDにはダライ・ラマのインタビューの他、
チベット語による般若心経の読誦も収録されている。