現実生活の中の自分と、「かくありたい」という自分との二重生活を送るというのは、時代を超え、個人差を越えて普遍的なものであるわけで、だからこそ、今までこの作品が残っているのだ。
それにしても、解説を読むまで、森雅之が有島の子だったとは知らなかった。黒沢明の「白痴」を見た時、「不思議な雰囲気の人だなあ」とは思っていたが、「小さき者へ」に出てくる長男だったとは。