怒りの無条件降伏: 中部経典『ノコギリのたとえ』を読む
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《ブッダが仏弟子に語られた、完全無欠の自己管理方法》
中部21『鋸喩経(カカチューパマ・スッタ)』を全文解説した作品です。怒りに囚われてトラブルを惹き起こしたある比丘に向けて、お釈迦さまは徹底した「怒りの克服」と「慈悲の実践」を説きました。たとえ盗賊に捕まって、生きたままノコギリで身を切られたような目に遭っても、相手に怒りを抱いてはいけないよ、という壮絶な喩え話がタイトルとなっています。出家者に対する説法ではありますが、経典のなかで語られる貴婦人と女奴隷のエピソード(いつもは温和な人であっても不快な言葉に接することで怒りに駆られてしまう危険性を説いた逸話)、他者から投げかけられる様々な批判の言葉への対処法、慈悲の冥想で体得すべき「大地のような心」「虚空のような心」「大河のような心」の解説など、時代や立場を超えた怒りの克服、慈しみの成長のありかたが懇切丁寧に説かれています。「怒らないこと」こそ、仏弟子にとって重要な修行なのだと学べる一冊です。
《目次》
自ら出家した責任
・「仲良くすること」はいいことなのか?
・感情的な心を捨てる
・「怒り」は御法度
不善はすぐにはびこる
・駿馬のように鋭敏に
・寄生シダにご用心
本当に穏和かどうか試してみると……
「素直である」とは
五種の言葉への処方箋
慈悲と同一となる
・大地のように堂々と
・虚空のごとく染まらずに
・大河のように悠々と
・よくなめされた猫の皮のように柔らかく
たとえノコギリで切られても
まとめ ――仏教徒の心得――
・悪条件を軽々と乗り越える
・「慈悲」という大きな生き方
付録 中部経典第二十一 『ノコギリのたとえ』――Kakacūpama-sutta(Majjhima Nikāya 21)――