落ち込んだときは水を浴びましょう: 波羅蜜を積む生き方
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「私は嫌われています。社会的立場もありません。とりたてて価値のない人間です」
・・・そんな風に思うときもあるでしょう。けれど、がっかりする必要はありません。
「どんなにお金を持っていても、社会的に成功していても、どれだけたくさんの人に囲まれていたとしても、人の価値はそんなことで決まるわけではありません。人の価値は三学(戒学・定学・慧学)で決まるのです。」「三学を実践するのはそんなに難しいことではありません。1日のうち、15分を費やすだけでできます。難しいことでしょうか?」と、サヤドー・ヤウェイヌエ(インマ)師がはっきり説かれています。
具体的な三学の実践法、落ち込んだときの気持ちの切り替え方、怒りが止まらないときの対処法、悟りを開くための心の向け方、心の悪い癖を直す方法、回向の仕方など・・・
軍事政権下のミャンマーで出版され、多くの人々に「涅槃に向かって幸せに生きる方法」を伝えた本書は、日常生活で波羅蜜(悟りに欠かせない条件の一つ。功徳のこと)を積む方法についてさまざまな角度で説かれた12の法話集。付録として、テーラワーダ仏教の日常読誦文を収録しました。
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目次
第一章 残りの人生をどう生きるか
第二章 落ち込んだときは水を浴びましょう
第三章 正しい請願(悟りに至る決意)
第四章 カンマを信じる
第五章 留まらず動かず渡る方法
第六章 死後もなお 変わる私を 趣味が追う
第七章 輪廻の中の両親
第八章 悪人
第九章 うちへ帰ろう
第十章 甘い境遇と苦い境遇
第十一章 実は親戚なのです
第十二章 怒りを消す方法
祈願
付録:テーラワーダ日常読誦文
礼拝文
誓願の文
阿羅漢の徳
ディヴァータパティの(昼に輝く)偈
アッターナメータン(不可能)の偈
発趣論二十四縁
ブッダの九徳
ダンマの六徳
サンガの九徳
慈経
著者紹介
謝辞と参考文献
奥付
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翻訳者による著者の紹介
1969年6月18日水曜日 バゴー地域テーゴン群区インマ町にて父・ウーテインニーセイン、母・ドーチンヌより生を受ける。
1979年 最初の沙弥出家。
1980年 二回目の沙弥出家。法名、アシン・ラーゼインダ。
1985年 パン・マガジンに短編小説の寄稿を始める。1985・1986・1988・1989年の間は送付した原稿が全て掲載を拒否されてしまう。
1989年 比丘となる。ヤンゴン市、マハー・ウィトウッダーロン・パーリ大学シュエジン寺にて学ぶ。ヤンゴン市から13キロ、タッダマ・ランティー・サヤドーの下で6年間修行を積む。
1990年4月出版のミャッミンガラー文集に法話記事が初めて掲載。
2000年 タータナ・ダジャ・ダマーサリヤ(法の指導者)の学位を取得。
2001年 ピニャーシュエダウン書店より仏教書「生まれ変わる度に繰り返すもの」を出版。「御言葉の源泉」を出版。
2002年 「輪廻の旅人」を出版。
2003年 「功徳となるように考えよう」を出版。
2004年 「吉祥の思考」でダマベイッマン文学賞とサンルイン文学最優秀賞を受賞。現在、ヤンゴン市ミンガラドン郡区国道3号線ティンガンチュンジー地区アウンズィーゴンゼディ通りダマ・ヤウェイ寺院にて僧院長を務める。
サヤドーは仏教書の著述家として、そしてマハーシ式ヴィパッサナー瞑想の指導者として、ミャンマーでは知る人のいない程の有名人です。マハーシ・サヤドーが尽力されていたヴィパッサナー瞑想の普及活動を、師亡き後、現在に至るまで精力的に続けられています。近年では国内だけにとどまらず、ドイツ、アメリカ、オーストラリア、そして日本でも、現地のミャンマー人のもとに自ら赴き、法を説き、瞑想の方法を指導されています。
師が最も好まれるのはブッダの教えに関する本を著すことです。「大規模な説法会で法を説くと気が大きくなりかねません。ですが、本ならば、書く前、書くとき、書いた後、出版された本を読み返すとき、常に喜びが生じるのです」「どんな状況であれ、本を書かせてくれるのであれば、私はそれでよいのです」とおっしゃっています。
くだけた口語体で容易に理解できる、そして日常生活の中で実践してゆける形での教えを説き続けてきた結果、老若男女年齢を問わず幅広い支持を受けるようになっています。
ジャータカ物語を始めミャンマーの歴史上の実話や民話、時事問題、争い事など身近で起こったこと、スーパーで販売されている品物などの幅広い題材を用いながら、時には親しみやすく、時には厳しく、たまに毒を混ぜながら、いかに現代の日常生活においてブッダの教えを実践するかに主眼を置いて語られます。
本書はミャンマーがまだ軍事政権下だったころ、ミャンマー人読者に向けて書かれました。ミャンマーの文化的な記述に関しては足りない情報を補うようにして、可能な限り元の雰囲気を損なうことなく、日本人の読者が容易に親しめるように、かつ教えを日常生活において実践してゆけるように智慧を絞りに絞りました。この本が、皆様が道果を得て涅槃に至るための力添えとなることを、著者と共に祈願いたします。
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