キャビンアテンダント・堕天使物語2018 由紀かほるベストセレクション
価格: ¥0
由紀かほるベストセレクション 第5弾。オリジナルは「国際線スチュワーデス・密猟」(アップルノベルズ刊)。今回、5年前に「でじたる書房」より発売した「キャビンアテンダント・堕天使物語」を新たに加筆修正した決定版。700枚超。ノベルズ2冊分。
《あらすじ》
国際線キャビンアテンダントの那須茉莉子は、フライトを終えて帰国した夜、公園のトイレで偶然男女の異常なセックス・プレイを目撃して衝撃を受ける。
中年男が若い少女をロープで縛って公園を引き回し、トイレで凌辱の限りを尽くした。
嫌がっていた少女が最後には男の手管に屈して歓びを顕わにする姿に、呆然となった。
個室の覘き穴から隣の様子を見ていた茉莉子は、知らぬ間に自分の身体も羞かしいほど濡れていることに気づく。
その日から、茉莉子の脳裡にはロープで縛られて凌辱される女の姿が灼きついて離れなかった。
半月後の夜、茉莉子は再び例の男が人妻を縛って凌辱するのに出会った。
隣の個室の覘き穴から、その様子を見ながら、茉莉子は堪らず燃えだした自分の身体を自らの手で慰めはじめた。
ふと気づくと、いつの間にか個室のドアが開いて、そこに男が立っていた。
「オナニーしてたな、スッチーさん。この前も覘いていただろう」
男はそう云うなり、茉莉子の胸を弄って、制服のミニスカートを捲り上げてきた。
金縛りに会ったように、茉莉子は男のイヤらしい手が触りまくるままに、その場に立ち竦んだ・・・
《立ち読み》
「遠慮すんなよ、続けな、スッチーさん」
男は一歩中へ入って、後手にドアを閉めた。
叫ぼうとして、喉に息が詰まって声が出なかった。
後ずさる背中を壁が逃さなかった。
「な、何ですか、い、いったい―」
ようやく声が出て来た。
茉莉子は指を引き抜いて、大急ぎでミニの裾を引き下ろした。
男との距離は一メートルしかなかった。
何よりも、先ほどまで遮っていた壁は、もうなくなっていた。
「覘いてたな」
「うっ―」
まるで太い槍で心身を貫かれたように、茉莉子はその場に立ちすくんでいた。
と、男の手が伸びてきた。
いきなり胸元のふくらみがギュッと握りしめられた。
あっ―
茉莉子は慄え上った。
何が起きたのか、半分まだ理解できないでいた。
このトイレの個室に跳び込んだのは、茉莉子自身の意思によるものだった。
が、男はあくまで壁一枚挟んだ覘き穴の向こう側に存在するもののはずだった。
それが、不意に自分と同じ空間に現れたのだ。
男は堂々と正面からバストを揉みまわしてきた。
何もできなかったのは、これがとても現実のことだとは思えなかったからだった。
「や、やめて」
茉莉子は喘ぐように喉に唾を絡ませて抗議した。
「手伝ってやってんだ、文句を云うんじゃねえよ!」
男は怒ったように云いながら、勝手にブラウスのボタンを外し、黒のブラに包まれたバストをさらけ出した。
まるで、それが当然の権利であるかのようにだ。
茉莉子はブルブルと伸びやかな四肢をおののかせた。
すぐにでもこの不躾な手を払い除けなくてはならない。
いや、男の頬を平手で打ってやらなければならない。
そう思っていながら、身体が動かなくなっていた。
ただ、胸もとだけが大きく動悸をくり返して、ブラからはみ出したバストを波打たせていた。
そのブラのカップに、男の指が伸びてきた。
「な、何をするのっ」
やっとのことで、茉莉子は男の手を払いのけた。
その瞬間、
「うるせえっ。じっとしてろっ!」
個室はもとより、トイレの外にまで轟きそうな怒号が響いた。
同時に、男は茉莉子の手頸を掴んで、嫌と云うほど強くひねり上げた。
凄い力だった。
「手が邪魔なんだよっ。大人しくしてろよ」
茉莉子は小さく悲鳴を上げていた。
関節が外れたのではないかと思った。
「騒ぐと、警察に連れて行くぞっ」
茉莉子はビクッとなった。
「わ、私は何も、わ、悪いことはしてないわ」
「バカヤロウッ!」
怒号とともに手頸を捻ったまま、男は自分の身体をぶつけるようにして、茉莉子の身体を背後の壁に叩きつけた。
ゴツンと後頭部が壁にぶち当たった。
クラっとなって、茉莉子は腰を落としかけていた。
「あんた、人のセックスを覘き見しながら、オナニーしてただろうが。惚けんのかよっ!それなら、警察へ行くぞっ!。いいのか」
「うっ―」
衝撃に頭の中を痺れきらせながら、茉莉子は愕然となって男を見遣った。
警察と云う言葉に、ドキリとなっていた。
先日の万引き少女の姿が脳裡を過ぎった。
それ以上にオナニーと云う言葉に、急所をギュッと掴まれた感じだった。
「会社にバラしていいのかよ」
鼓膜の中に男のドスの効いた声と生臭い口臭が浴びせかけられた。
肘と肩がさらに悲鳴を上げていた。
「そ、それは駄目―」
思わず、茉莉子は口を開いていた。
「だったら、じっとしてんだよっ!」
男は頭ごなしに命じて、ブラの二つのカップを押し上げ、バストをムキ出しにさせた。
唾を飲む音とともに、男の細く吊り上がった眼が一段と淫靡に光った。
豊かにこぼれ出た二つのふくらみは、まるで競うかのように、美しく色づいたピンクの尖端をツンと上へ向けていた。
「凄いじゃないか、スッチーさん」
男は眼をさらに吊上げながら、両手で二つのバストを握りしめてきた。
ああっ!―
茉莉子は息を飲んで、全身をすくみ上がらせていた。
隣りの女とは大きさも形も、プルプルとした瑞々しさも桁違いのバストだった。
熟し終った果実と、今まさに食べ頃のもっとも果汁を豊かに湛えた果実との違いが、誰の眼にも諒かだった。
男はその極上のバストのふくらみを、貪るような手つきで搾り上げた。
ただ闇雲に搾り立てるのではなかった。
美麗な茉莉子の苦悶する反応ぶりを見ながら、粘っこい玩弄をくり返してきた。
ギュッ、ギュッ―
揉む度に、鮮度抜群のバストは音を響かせた。
それほど強く、深く、指を喰い込ませて、掌全体でふくらみを胸板に押しつけてくるのだった。
茉莉子は慄える歯をグッと噛みしめた。
軽い脳震盪から意識が鮮明になるにつれ、萎えかけていた気力がようやく甦ってきていた。
セックスを覘き見していたという引け目があるにしても、この蹂躙を黙って受入れるわけにはいかなかった。
「やめて、手をどけなさい。あなたにこんなことをする権利はないでしょう」
茉莉子は男の手頸を掴んで、キリッとした眼で浩然と抗議した。
「カッコつけんなよ。俺たちのセックスを覘いて、オナニーしてパンティ濡らしてたくせによ」
「!」
ギクリとなって、茉莉子は男を見やった。
「今夜も見に来たんだろう?」
「うっ!ば、ば、ば、莫迦なこと、い、い、云わないでっ!」
おかしいくらいに、声が上ずっていた。
「隠さなくたっていいんだぜ。また、俺たちのプレイを見に来たんだろう?それだけじゃなくて、本当は自分も縛られて、責められてみたいんだろう。判ってるんだよ、スッチーさん」
「うっ、な、何を、い、云ってるの―」
きっぱりと否定しなければならないのに、その口調は如何にも図星を指されて弱々しかった。
実際先ほどの怒号以上に、その指摘は茉莉子の心身を打ち抜くほどのインパクトを秘めていた。
今夜だけじゃなく、先日の覘き見も男は知っていた―
その事実に、茉莉子は自分の支えである正当性を完全に失った気がした。
懸命に抗っていた手脚から突然、力が抜け落ちていた。
「遠慮すんなよ、スッチーさん。お高いスッチーだって、女だもんな。女なら誰でも同じさ。本当は自分もしたいけど勇気がない。チャンスがない。その意味じゃ、今夜もここへやって来たあんたは正直者なのさ。そうだろう?スッチーさん」
男は急に親しげな口調になって、茉莉子の身体を背後から抱きしめてきた。
汗で一段と光沢を湛えた二つのバストを、丹念に揉みほぐしながら耳もとに唇をふるいつかせてきた。
ンンッ―
茉莉子はゾクッと身慄いした。
悪寒のざわめきの中で、針で突かれたような強烈な快美感が駆け抜けていた。
唇で耳を覆いながら、舌は耳の周辺から中を這いまわってきた。
文字通り貪るような、男の舌遣いだった。
それでいながら、その裡にかなり高等なテクニックが隠されていることも、茉莉子は認めないわけにはいかなかった。
たしかに、女というものを扱い慣れたそれは愛撫だった。
唇が頬を吸い上げ、唇をしゃぶり上げてきた。
ウンッ―
眼を閉じて、茉莉子は滑り込む舌をそっと迎え入れていた。
ショックで一時的に麻痺していた性感が、にわかに眼を覚ましはじめた感じだった。
ザワザワとした異様なざわめきと妖しいうねりが、全身を駆け巡っていた。
茉莉子は慌てた。
とても尋常とは思えない燃え方だった。
まるで別人に生まれ変わったような性感の反応ぶりだった。
それまでは自分と男は飽くまでも壁一枚挟んだ別の世界にいたはずだった。
たとえ、男がこちらの個室にいても、そこには交わることない溝が存在していたはずだった。