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魔の山 下 (新潮文庫 マ 1-3)

価格: ¥1,069
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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読んでおく価値あり ★★★★★
表現方法が難解(一般人にとっては)ではあるが、言葉の操り方にもの凄い技術を感じる。現代の流行小説のように読者におもねる様なところが無く、むしろ、読者に知識と知性と忍耐を要求している感じさえある。
発刊当時の読者層は、ヨーロッパの知的なある程度の上流階級であったろうから、読み進めるのに非常に骨が折れた。苦痛を感じさえした。啓蒙主義、形而上学、フリーメースン。謝肉祭等、知ってそうでよく知らない言葉が多く、調べながら読んだ。
作者は、哲学的、宗教的、生物学的、思想的、歴史的セリフを通して、読者に、自分だけではなく人類はこれからどうあるべきなのかを考えるようメッセージを込めているのでないか。
長文で、主人公と長きに渡り付き合うので、ハンスの最後の戦争シーンの印象が強い。
《死》が作品とヨーロッパを覆う ★★★★☆
 下巻は面白いです。私が気に入ったのはナフタで、彼の登場と活躍で物語が引き締まった。しかし彼の最期があれだとは……。
 この作品は、書いている途中で第一次大戦が起こってしまい、完成がかなり遅れました。作者の混乱は読んでいてもうかがえます。下巻になると、物語が《死》の方向へ加速していくのです。そしてあの唐突な締めくくり。大戦という大惨事によって、この作品のテーマも粉砕されてしまったかのようです。あの高地での生活は、ハンスを銃弾の的にし、泥の中で息絶えさせるためにあったのか?
セテムブリーニとナフタの激しい論戦に負けるな! ★★★★☆
上巻では、主人公の青年は人文主義者のセテムブリーニから哲学的、思想的な個人レッスンを何度も受ける。正直、内容が高尚過ぎてハードだった。それなのに、なんと下巻ではセテムブリーニに論客が現れる! イエズス会士にして保守主義者のナフタである。ふたりの激突は小説を超えて「朝まで生テレビ」的徹底討論が展開される。高尚さに輪をかけたふたりのハードなやりとりに、何度も甘い挫折の誘惑に負けそうになった。魔の山を下山したくなったが、一歩一歩地道に進んでいけば、いつかは頂上に辿り着けるのだ。それをおまじないのように唱えながらぼくは谷を渡り、尾根を登った。皮肉なことに、主人公の青年が7年も滞在していた魔の山を後にすると同時に、ぼくは山の頂上で仁王立ちすることになった。眼下には人間なる生き物の不可思議さが広がっていたのである。
ドイツ文学の遺産、そして至宝。 ★★★★★
・・・そのブ厚さに、思わずたじろいでしまいますが、ドイツ文学、教養小説の「高み」を見せてくれる作品です。「傍観者」のはずのカストルプ青年の、「当事者」への変化。セテムブリーニとナフタの存在、その対決。ヨーアヒム
の死。この作品は、読むあなた、あなた自身が主人公なんですよ。

そのカタルシスは、ヘッセの「ガラス玉演戯」にも通じ、やはりヒトという「生き物」の儚さ、脆弱な存在を通して、「今、何をすべきか」に導いてくれます。

「ベニスに死す」だけがトオマス・マンではありません。
今すぐ手に入る、貴重な「遺産」と考えます。

過去、映画化されています。(入手困難)