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アンナ・カレーニナ〈下〉 (新潮文庫)

価格: ¥961
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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文学の神が宿っている ★★★★★
みなさんが指摘されているとおり、最終章でレーヴィンが悟りをひらく場面がやばすぎる。
これを超える表現はおそらく人類史上、これまでもこれからも存在しない。そこを読むためだけにも買うべき。

ただ、「物語」というものにまったく価値を認めない人間には、理解されない可能性がある。
ゲンナジイ・アイギどっぷりで、「なんか最後の場面が宗教みたいでちょっと〜」と、本作にまったく価値を認めなかった少年をわたしは知っている。
魂の文学 ★★★★★
昨夏の休暇でサンクト・ペテルブルクにも立ち寄れた。
生まれて初めて踏み締めたロシアの大地が、その地となった。
人に例えて美女と呼ぶしかないと感嘆させられる都市だった。
選りすぐりの青いマトリョーシカ人形も、買って連れ帰っている。
彼女はいつも我が家の居間で婉然とわたしに微笑みかける。

その黄金に輝くサンクト・ペテルブルクの記憶を半年寝かせ、満を持して、この「アンナ・カレーニナ」を読了する機を得た。
その都市は、作品にとっても重要な舞台のひとつである。
モスクワ行きの列車が出る駅周辺はまさに都市のメインストリートの出発点でもある。
アンナ・カレーニナはそこからモスクワへやって来たのだった。
この都市の美貌の具現者が、アンナだったとわたしは思う。

下巻では、主人公は彼女ではなく、作中に於いてトルストイの分身同様な登場人物であるリョーヴィンだったと読者は知ることになる。
アンナが作品の舞台から降りた後のリョーヴィンの最終的な精神史の経緯は、トルストイの後半生と重なって延びていた。
Браво!
上中下巻すべてのブックカバーの商品説明にあらすじが書いてあるので要注意 ★★★★★
大著ですが、戦争と平和ほどには登場人物は多くないので読みやすい小説です。恋愛と主人公の行く末が大きな柱ですので、読者としては誰と誰が結婚するのか、主人公は幸せになるのか不幸に終わるのかが大きな関心となります。ところが、この本は上巻・中巻・下巻のそれぞれのブックカバーに、それぞれのあらすじが最後まで書かれており、これを読んでしまうと興味が削がれてしまいます。また、訳者の解説は下巻のみにありますが、ここにも小説の結末が書かれています。予備知識なしでも十分に理解できる小説ですので、ブックカバーの商品説明と解説は、小説を読破してから読むことをお勧めします。
全巻読むのに一ヶ月かかります ★★★★★
ロシア文学はあまり読んだことがなかったが、
これは1ヶ月かけてじっくり読むことができた。
ただ登場人物の名前が覚えにくい(例:ブロンスキーとオブロンスキーなど)ので
メモを書きながら読まないと「えーっと、この人誰だっけ?」という状態になる。

この小説は二人の主人公がいる。
・アンナ・アレーニナ(美貌の政府高官夫人)
・リョービン(理想主義者の地主貴族)
この二人それぞれが軸になってストーリーが展開するが、
アンナとリョービンは後半に少しだけ会話を交わすだけだったりする。

アンナと若いブロンスキー(伯爵家出身の士官)の破滅的な恋だけであれば
ひたすら重苦しい、陰惨なストーリーになるところを
リョービンとキチィ(公爵令嬢。昔、ブロンスキーに恋をしていた)の穏やかな家庭愛を
絡ませることによって、救いようのない結末を免れているところなど
この構成の巧みさはさすが文豪である。

あとはフランス語を交えて会話したり、
子供にフランス人の家庭教師を雇うなどのフランス崇拝や、
男はカード賭博や競馬、女は霊媒のような神秘主義者に熱中するなど、
当時のロシア上流階級の様子がわかって面白かった。
壮大なる完璧な総合小説 ★★★★★
十九世紀のロシアの風土がありのままに感じられ、そしてそこに生きる人々の繊細な人間模様が、トルストイの透明さの奥から迸る情熱を込めた筆致を通して、作品全体から伝わってきました。

やはりトルストイの人物描写、特に女性描写は、抜群の感性を誇っています。特にアンナの最後の混乱した感情描写や、キチイの出産時の描写などが強く印象的です。

女性の方であれば、アンナ、ドリイ、キチイ、ワーレンカなど、男性の方であれば、リョーヴィン、カレーニン、ヴロンスキー、オブロンスキー、ニコライなど、どの登場人物に感情移入するかは、人それぞれの性格や思想によりけりですが、トルストイの、それぞれの登場人物に対する、繊細で肌理細やか過ぎる描き分けの凄さには、只々、脱帽するのみです。

因みに私は、男性として、リョーヴィンに感情移入しました。リョーヴィンが出てくる場面が常に楽しみでした。リョーヴィンを通して、特に農業学的見地からロシア社会の欺瞞を摘出しつつ、キリスト教の欺瞞に疑問を抱きながらも、その上で理性や哲学では計り知れない「己の精神の聖なるもの」を信じて生きていこうという、宇宙的想念の最後の悟りは、鳥肌ものであり、最後までこの長編を読んできた人にだけ味わえる、素晴らしき体験です。競馬の場面の臨場感や、結婚式に遅刻する滑稽さも良かったなあ。それ以外の場面にも、トルストイの霊的な力が、作品の端々から、滲み出てきています。

いずれにせよ、生涯付き合っていける素晴らしき作品に出会えたことが、何より嬉しいです。何故ならこの作品には、恋愛、宗教、哲学、政治、農業など、国や時代の違いに拘わらない、人間と社会の普遍的なる問題が、そのままに描かれており、全世界的な問題を包括した総合小説となっているからです。トーマス・マンも言うように、「非の打ち所の無い完璧な作品」とは、正にこの作品であり、寧ろ人類の遺産とまで言い切れると思います。