これを読んでいない人間の存在が信じられない(と思えるほどの傑作)
★★★★★
星の評価が5段階しかないとかなりつらいものがあるのですが・・・この作品を5つ星以外にどう評価しろというのでしょうか!・・・というくらいに完璧な作品です。
完璧というのはどういう意味かというと、まずは構成。
序盤で、列車から降りるアンナと将来の恋人ヴロンスキーが出会う印象的な場面がありますが、最後までこの情景が常に背景のように作品全体を支配するよう緻密に計算されていることがわかります。2度目に読んだ時には結末も知っていたので、余計に伏線が際立って感じました。最後までわずかな部分にも物語に無駄がなく、いかにトルストイがこの作品の推敲に時間をかけたかがよくわかります。
次に思想性。トルストイの作品はあまりにキリスト教の影響が強く、他の作品(特に『人はなんで生きるか』などの短編)では説教くさいと感じて敬遠されることも多いようなのですが、この作品ではその説教臭さがほとんどないにも関わらず、トルストイの思想性が、主人公の一人であるリョービンに見事に表現されています。このリョービンがトルストイの分身として書かれていることは有名です。確かに物語の最初に登場するリョービンはいかにも青臭く(といってももう32歳くらいですが)、経験不足な田舎者でしかも無神論者です。しかしキチイという魅力的な女性に出会い、結婚し子供を持つことで、内面において飛躍的な成長を遂げていきます。この過程にトルストイの宗教哲学が全く無理なく込められているのです。
久しぶりに再読すると「ジャン・クリストフ」よりも好きな作品になりました。千数百冊読んできた本の中で、僕はこの作品が最も素晴らしいと思います。
初めてのトルストイです。
★★★★☆
恥ずかしながら、トルストイはもちろんのこと、ロシアの文学に触れるのは初めてでした。この本に振れるきっかけは、塩野七海さんの「普通の男が***な54か条(すみません、正確なタイトル忘れました)」で、女心がわかっている旨の良い表現があり、辛口(?)の塩野さんが良い評価をしていたので、触れてみようかと思ったのがきっかけです。もっと哲学的(?)な難しい読み物かと思ったのですが、読みやすかったです。内容は、不倫系と言ってしまえばそうなってしまうのですが、様々な人間模様の中で出てくる心の動きが表現が、非常に詳しく書かれ、関心しました。さすがだなと。。。また、昨今の話題の図書やTVドラマなど、現実離れした人物だったり、「ありえないでしょ」といった展開が目立つ中、時代を超えても変わらない「人間」の本質を丁寧に描かれているところが、とてもよかったです。まだ上巻ですが引き続き読んでみたいと思います。
近代小説の誕生
★★★★★
トルストイは20代で農村復興・農民啓蒙を実践し、そして失敗した。貧しい人々を意識して日常の平易な言葉で書いた壮年期の民話も書いた。これらのことからトルストイは農村農民の安定こそが全てといってもよい程の農村復興論者であった。その思想形成には農奴解放という時代や戦争経験、キリスト、ショーペンハウアー・孔子・老子にいたる耽読が骨子となっているようだ。
さてトルストイの思想の論理からすれば、明らかにリョーヴィンとキチイをあるべきよき関係としており、リョーヴィンにトルストイの思想の多くを喋らせている。一方愛情の源泉をカレーニンからウロンスキーに変更したアンナは、あっさりいえば愛情への過剰な渇望が祟った内実をもたない日常生活とその悲劇的結末といったトルストイの説く生き方に相容れないところがある。
この二つの関係のコントラストと小説全体から分かったことは、トルストイ主義(ある種の自然主義)の炙りだしと、そして何よりも重要なことは「男からみた女性一般に根ざす異常な愛の渇望」や「男女心理のスリリングな描写」、そして「伏線をはった轢死体と悲劇的結末の関連」などで、これは今では目新しい構成ではない。しかし当時としては先駆的だっただろう。つまり近代(modern)小説の教科書・モデル(model)といわれるゆえんがこの辺にあるのでしょう。
同時に民話を書く頃になるとこの小説史上の大著も「伝えたい思想」のシンプルさと比べると飾り立てすぎていると、トルストイ本人が高い評価をしなくなったことも確認しておきたい。しかしながらドストエフスキーの心理描写の異常さとは違ったオーソドクスな流れの大著として、一度は読んでおきたい小説です。長くてしんどいなら、縮約された金の星社のジュニア版でも十分おすすめできます。
女性心理の深遠
★★★★★
謹厳で理想主義者だったトルストイがなぜかくも鮮烈に女性心理を描けたのか、本当に驚かされます。
まずは最初の1ページを読んでみてください。「幸せな家庭はにたようなものだ、しかし不幸な家庭の不幸は様々である」から始まり、アンナの兄の目覚めの滑稽なこと!健康で元気一杯で目が覚めたものの、自分は若い召使に手を出し、家庭崩壊に直面しているのです。それをハッと思い出す。その解決のためにアンナはわざわざ出向いてくるのでした。
アンナの登場から一気にラストまで読んでしまいました。女性の魅力とはかさなさ、一途な情熱ともたらされる悲劇、理性と知性、エゴと愛情、憐憫、悲哀、そのひとつひとつがアンナの髪の小さなカール、黒いドレス、瞳や手の動きを通して表現されます。(もちろんそれだけではありませんが)
文学が持つ魅力の全てが表現されています。お勧めの一冊です。
アンナではなく、リョービンが主人公?
★★★★★
「19世紀ロシア。田舎で暮らす誠実な金持ちの32才リョービンは、とあるこれまた金持ちの心の美しい女性キチイにプロポーズするため都会に出てきた。しかしこれが断られ、彼は失意のなか去る。ところが、キチイの愛していた男性はアンナへと走る。アンナはそれに応え、退屈な夫とその生活から逃亡する・・。破滅するアンナ、そして傷つき、癒しを求め、自分を取り戻したキチイはリョービンとの幸福な生活を得る」
主人公アンナ・カレーニナよりも、キチイという最良の妻を得たリョービンの幸福な生活が際だった作品のような気がした。
でもトルストイの文章・描写が細かすぎるのが、やはりトルストイ流。
「幸福な家庭はすべて互いに似かよったものであり、不幸な家庭はどこもその不幸のおもむきが異なっているものである」
通勤と休養の日々
★★★★★
ロシア貴族の不倫モノです。貴族と言えば政略結婚が当たり前。で、正式な夫婦同士は形式的な関係でお互い愛人をもっていても不思議でないというのはどこの国でも同じなんですね。
LaRoseVerete書店
★★★★★
思ったより読みやすいです。ただいま中巻に突入。アンナのことよりキティとリョービンのことが気になるし、面白い。この文庫ではキティはキチイ。
七味本屋
★★★★☆
兄夫婦の浮気が原因の喧嘩も見事に仲裁してしまう知的で魅力的なアンナ...そして,そんなアンナに一目ぼれした若い士官.
二人が顔をあわせるたびに,アンナの心が揺れ動く・・・(妻子持ちなのに,アンナ!!)
まだ上巻読んでる途中ですが・・・ハラハラ・ドキドキ!!
ブー太郎の渋めの本屋
★★★★☆
ロシアの文豪トルストイって聞くと難しい感じして敬遠しちゃうけど、まあ読みやすい。
やはりロシアの人名が慣れないから覚えるまで大変だけど我慢して読んでればなれちゃいます。
要するにロシア社交界の美人で金持ちのアンナが不倫しちゃって子供と旦那をすてて若いかっこいい男に走る。恋に走るって話です。
だが、壮大で哲学的・・・
人生で読んでおくべきほんです。
favorite books
★★★★☆
「はつ恋」とは対照的に、重厚でロシア文学らしい作品。美しい人妻・アンナの恋と苦悩、厭世的で理想主義的なリョーヴィンの思考が中心となっています。アンナの苦しい恋心に共感し、リョーヴィンの宗教に対する考えに関心しました。読み切るには気合いが必要ですが、じっくり読みこみたい気分の方は是非挑戦してみてください。
ふかよみどう
★☆☆☆☆
戦争と平和(全四冊)は長い。一冊少ないことで錯覚に揺れるが、こっちもやっぱり長い。未読。上中下三巻。
シーラカンス
★★★★★
読みやすいのですが,これは映画を見ているような物語が動いていく感じを受けました。なんとなく夜中に読みたい雰囲気。
低体温
★★★★☆
これは、ほんとに長い!!こんなに長い話をよんだのは久々でした。でも、予想に反して、なかなか読みやすかったです。読む前は、途中で嫌になるかな~と思ったけど、そんな事もなかったし。やっぱり、昔から人気があるだけありますね。私は、アンナの話よりもリョーヴィンの話のほうが好きでした。リョーヴィンの考え方と、その姿勢が好き。この本を読もうと思ったきっかけは、村上春樹さんの本の中に出てきてたから。彼の本の中で出てくる本は、結構好みのものが多ので、とりあえず手にとってみることにしています。いっそのこと、村上春樹さんが、訳してくれたら良いのになあ、なんて思ったり。でも、この訳は結構好みでした。
偽善者自己満足書店
★★★☆☆
たしかに傑作。ストーリーの展開の仕方やキャラクターなど、これが作家が手本にすべき完成品じゃないかという気になりました。
央花堂
★★★★☆
アンア・カレーニナは夫を持つ身でありながら、ロシアの青年の求愛に応えてしてしまう。やがて命よりもこの愛を守りたいと思うようになり・・最後には線路に飛び込んで自ら命を絶ってしまうアンナ・・・。『神さえもこの愛を裁けはしない・・』
みそのほんや
★★★★☆
アンナ・カレーニナは自由を求めそれを手にしたようにみえるが,次第に破滅してゆく。トルストイはドストエフスキーと双璧をなすロシア文学の2大文豪のかたわれです。露小説は長いけど面白いです。名作です。
乙女堂
★★★★☆
愛は信じることから成り立つものなのに、相手を愛しすぎて信じることに不安を覚え、絶望して破滅したアンナ。彼女の破滅に至るまでの悶々とした心情が見事に描かれています。それだけではなく、同時並行して描かれるロシアの一青年の魂の遍歴にも注目しなくては片手落ちになりますわよ。
のんびり気ままに。
★★★★☆
今読んでる小説です。トルストイって結構読みやすいです。やっとアンナ登場・・・もっとズバーッッと読みたい。。。イギリス?アメリカ?BS2の映画「アンナ・カレーニナ」はもちろんチェック。でもまだ読んでないから見ないに限る!!