このシリーズ最高の傑作
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この六巻はこれまで読んできた中でも最高の場面で、これまでの出来事は、この巻のためにあったのではないかと思うほど、良くできています。
小説なので、まるでドラマのような展開といっては変ですが、龍馬のやること、なす事全てが痛快です。
幕末に多くの人が思っても、なかなか実現しなかった薩摩と長州の同盟をやり遂げるところがなんと言っても、最大のできごとのように思います。
幕府に対抗できる力を持ちながら、お互いに憎み合っていた両藩をどうすれば、結びつけることができるのかというところが、最大の見所でした。
しかし、読んでいるうちに、もしかして龍馬はある種の天才ではないかと感じるところがいくつもありました。
何事をなすにしても、時期というものがあるというのが、その一つです。
機が熟すという言葉がありますが、龍馬自身は変な例えでこのことを言っています。
雨乞いをするのにも、天気の様子を見て、そろそろ雨が降りそうだということを、調べ上げてから、ほどよいころに雨乞いをするから、祈とう師は偉いというような話です。
薩摩と長州も同盟を結ぶには、まず素地を作り上げ、お互いの気持ちがうち解けることができるような状況を作ってこそ、成し遂げることができるということを述べています。
ただ単に、思想や信念だけでは人は動かないと言うことを、見抜いていたのだと思います。
それでも、なかなかうち解けようとしなかった西郷隆盛と桂小五郎の手を握らせたのは、龍馬の人格としか言いようがないように思います。
長州へ帰るといってすねていた桂小五郎をなだめ、長州に手をさしのべようとしない、西郷隆盛をしかり、心をうち解けさせようとしたのです。
理屈ではない、感情の問題を見事に解決し、この薩長同盟は見事に完結できたのだと思います。
このことが、歴史的に見ると、幕府が解体に向かう大きな転換点であったというように、描かれています。
長州だけでは、とても強大な幕府の軍隊にはかなわなかったことでしょう。
後ろで薩摩が長州を支え、龍馬を中心にした浪士たちが間に入って、機敏な動きをしていた様子が、見事に描かれています。
司馬遼太郎さんは、この本の中で、「一介の浪士から出たこのひとことの不思議さを書こうとして、筆者は三千枚ちかくの枚数を費やしてきたように思われる。事の成るならざるは、それを言う人間による、ということを、この若者によって筆者は考えようとした」と書いています。
歴史がダイナミックに動こうとしている
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本巻で互いに憎しみあう薩摩藩と長州藩の手を握らせ竜馬が中に入り薩長同盟を結ばせる。歴史がダイナミックに動こうとする激動の時代の描写が面白い。
物語に引き込まれました
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薩長同盟。
様々なメディアを通して概要は知ってるはずなのに、
まるで初めてこの同盟のことを知るかのように、
頭をリセットされて新鮮な気持ちで読めます。
なぜでしょう。
竜馬の物語は知っている!と思ってる方にもぜひ読んで欲しいです。
新鮮といえば、艦長としての坂本竜馬の活躍もおもしろいです。
幕末の魅力が詰まった一冊
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幕末は戦国と並んで日本史上の激動の時代であるが、劇以上に劇的な史実の面白さが本書ではこれでもかと言わんばかりに表現されている。特に、幕末の最大のハイライトである薩長同盟の下りは臨場感があり、見事の一言。寺田屋襲撃事件も手に汗握る展開だった。幕末の魅力を初めて感じることができた。
薩長同盟
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犬猿の中にある薩長両藩を竜馬は利をもって説き、誰もが理想としつつも成功するとは思わ
なかった薩長同盟を成立させる。
才谷屋という商家と親戚関係にあり、亀山社中という日本発の会社を設立させるような天性の
商才を持つ竜馬だからこそできた同盟関係といえるだろう。
幕軍と戦う天才軍人高杉晋作らの活躍も見逃せない!