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大聖堂 THE COMPLETE WORKS OF RAYMOND CARVER〈3〉

価格: ¥3,456
カテゴリ: 単行本
ブランド: 中央公論社
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作品も良いが、編集も素晴らしい ★★★★★
 現代労働者階級の日常を切り取った短編をカーヴァーは多く残したが、そこに描かれている世界は、大掛かりなドラマ(=戦争やロマンス)からは程遠いもので、アンチ・ヘミングウェイといっても良い位置づけができる。ただ、じゃあその短編の中にドラマがないかというと、そんなことは全く無い。どの話も静かに始まり、淡々とストーリーが流れていく中で突然話が動き、そして寂しく余韻を残して終る。この序破急のリズムが素晴らしい。

 僕が衝撃を受けたのはやはり「大聖堂」です。盲人(黒人)に白人の主人公(白人)が大聖堂を何とか説明しようとする短編なのだが、(ディス)コミュニケーションと「言葉」に対する愛情が感動的に表現されています。

 村上春樹の各作品の解説も丁寧で、マズイ作品はどこがどうマズイのかということも書いてくれており、初心者にも優しいです。カーヴァーの妻(テス・ギャラガー)、ジェイ・マキナニーのエッセイも収録されており、大変丁寧な編集がされた一冊だと思います。

 
すばらしい ★★★★★
「大聖堂」、「ぼくが電話をかけている場所」、「ささやかだけれど、役にたつこと」とカーヴァーの作品の中でも数珠の作品を収録。「大聖堂」というのは不思議な作品で、これまで30回くらい読みましたが全然飽きません。妻が文通していた盲目の男が遊びにきて仲良くなるという、何の特別なこともない話ですが、なぜか暖かい、安らぐ、そして妙な力を感じます。傑作。
極東の島国でファンを得ることとは? ★★★★★
 レイモンドカーヴァーを日本に紹介したのが村上春樹だったことは よく知られている1980年代の伝説の一つだ。

 カーヴァーを初めて読んだ時に感じた衝撃は今でも覚えている。「ダンスしないか?」という短編だったと記憶しているが とにかく「人間の絶望」というものを かようにドライで淡々と書く才能には 本当に目を見張ったものだ。

 やはり村上ファンだった僕の友人は 「カーヴァーの作品世界は正しく村上春樹の世界だ」と言い張っていた。その意見は 今考えてみると 全く当たっていないとは思うが 1980年代には いくばくかの説得力がある意見だったと記憶している。あの頃の村上も「人と人とのディスコミュニケーション」がテーマであるように語られてきたし 実際 そんな「お洒落で軽い絶望」が 村上の持ち味であると僕も思ったものだ。

 カーヴァーが亡くなったのは1988年だ。もうすぐ20年になる。彼は日本では読者に恵まれたと 今 思う。そう 日本人の大半は村上春樹経由でカーヴァーの辿りついたと思うがその結果 彼の良い読者が この 米国から遠く離れた国にも 沢山居るのだと思う。それは彼に対する一種の供養のような気もしないでもない。
カーヴァーの真骨頂 ★★★★★
『羽根』は日常のカフカ、とでもいった趣。『大聖堂』も不思議な世界。両篇とともに忘れがたい人物が登場する。初期の短編もエクセレントだが、この集の短編群は、語り始めたら何時間あっても語り尽くせぬ魅力に満ちている。後期、円熟期の作品群。
リアリズムのカフカ ★★★★★
『でぶ』は訳者の能力を実感させられるカフカ的短編。『大聖堂』は奇妙などきどき感で目が離せない。『ジュリーとモリーとサム』はかなりきつい内容なのに、そこはかとないユーモアが読み手を魅了する。ウイリアム・キトリッジの巻末エッセイも泣かせる。