未来への希望
★★★★★
僕は最初からずっとラスコーリニコフは自分に思考回路が似ていると思って読み進めた。それは誰にも心を許せない猜疑心だと思う。
最終的にラスコーリニコフは、何に救われたのか。それは生活のなかに未来を見れるようになったということ。そうそれだ。毎日の生活を送るなかで、未来を見たときに希望を見いだせること。その中に、ソーニャの果たした意義は大きい。ずっといてくれるということと、逆にずっといてあげるということ。これは重い責任であり、それこそが未来への希望だ。このつながりこそが未来への希望だと気付いたということにラスコーリニコフは救われた。
エンターテーメントとして秀逸、そして信仰の物語
★★★★★
実に30年ぶりに読みなおしました。前回読んだのは高校生のときだったなぁ。
選ばれた非凡な人間、たとえばナポレオンのような人間はおのれの偉業のために、一方で種の存続のためにあるような平凡な人間を犠牲にすることは許される。
そういった思想にその若い偏執的な環境の中でとりつかれ、とうとう自分の偉業のために、人を殺めてしまう。
が、計画にはなかった老婆の妹を殺してしまったこと、また、殺人を犯したその行為そのもに対して動揺し、自分を保てなくなっていってしまう。
このラスコーリニコフの思想と動揺、自首してもなお罪を悔やむのではなく自首してしまった自分の弱さと思想のゆらぎを悔やんでいた彼が最後に変わっていくその姿が以前は不満でした。
高尚な思想に基づき行動したのに、なぜ逡巡してしまい悔恨してしまうのか、高校生の時は共感できにくかったことを思い出す。
この作品の面白さは卓越した一気に読ませるストーリーももちろんだが、それぞれの登場人物のいきいきとした描写、ペテルブルクの暑さまで伝わってくるリアルな風景であろう。
ラスコーリニコフの未熟な怒りや思想ももちろんだが、怪人スヴィドリガイロフ、自首を勧めるポルフィーリイ、今でも近所にいそうな家主やカテリーナ、そしてソーニャや妹のドーニャ、中でもポルフィーリイとの犯罪がばれそうなぎりぎりの会話、カテリーナの狂信的なふるまい、スヴィドリガイロフのドーニャに対する愛と絶望、この生き生きとした人々の行動が我々を惹きつける。
これら周辺の人物の魅力と、青年の屈折した追い込まれた思想、その悔恨と再生。
ソーニャはなぜあそこまで身を呈して自分を大事にしないひとりよがりなラスコーリニコフについていったのか?
愛というよりは献身であろう。ここの流れは現代の我々には理解に苦しむところがあるし、最後に愛がすべてを救ってしまうのはなんだがご都合主義的なにおいもして、素直には受け入れ難いが、全編に通じて感じるドストエフスキーの人への興味と時代の批判を味わえる傑作である。
ノンストップなエンターテーメント、永遠の傑作。
読むたびに違う視点、考え方が見えるんですね。。
★★★★☆
久々に少し読み返して見ると、高校生の頃に読んだ印象と全く違う事に驚きました。あの頃は単純に当時かっこいいと思っていたスーパーモデルがドストエフスキーを愛読していると知り、感化され読んでみたもの、主人公のラスコーリニコフの壮絶なる苦悩と葛藤、敏腕予審判事のポルフィーリィとの壮絶な心理戦と頭脳戦に心身ともに疲れました。ラスコーリニコフの考え方にこっちまで発狂しそうになりました。。若かったからでしょう、今は冷静に受け止める事が出来ます。やはり、考えすぎるのは良くない。。ですね。
毎回読む度に考え方が変わってくる
★★★★★
お話は婆さんを殺した方が有益と考えて婆さんを殺したら婆さんの娘に見られて無益な娘までも殺してしまって葛藤に悩まされると言うお話なんですが毎回読むと自分で感じる考え方や背景などが段々変わって行って読む度に引き付けられて行くと言う不思議な物語です。最初に読んだのが四年前。久々に読みたくなったので購入することに。
最後に長く引っ張ってた伏線が最後に解った時はすっきりします。
読む時はお金の単価を調べてから読んだ方が良いかもしれません^^
人間の精神の内奥
★★★★★
ドストエフスキーの代表作であり、その特徴である精神の葛藤の描写が存分に味わえる作品です。
人間の罪と罰、そして愛。自分自身、読みながら多いに考えるところがありました。
最近の小説などは「軽く」てお手軽に読めるものが多いが、しばらくするとその内容を忘れてしまうようなものが多い気がします。
ドストエフスキーの本は、非常に重厚感があり、面白いのになかなか進んでいかないという読み応え十分な本ですね。
最近の本に物足りなさを感じている人は是非読んでみていただきたいです。
工藤精一郎の訳がまた良いんですよ。
☆☆山七幸芸堂☆☆
★★★★☆
世のため人のため殺したはずだった。これほどの恐怖のオマケつきとは・・・。(上下2巻)p(^^)q
島○書店
★★★★☆
悲しいロシアの悲しい時代における悲しい人たちによる悲しい物語。貧しいから罪を犯すのか、貧しいことが罪なのか。それが悲しい。
Easy Company
★★★★☆
一の微細な悪は百の善行に取って変わる。強烈なキャラクター、サスペンス、ミステリー、恋愛あらゆる要素が巧みに絡み合う。人生に一度は読みたい。詳しい注釈付の岩波版がおすすめ。
ほっとする館
★★★★☆
刑事コロンボのルーツがここにあるとは知らなかった。自分を特別の存在とする小心者の主人公。多くの人物が登場しますが、おさえておくのは、ラスコーリニコフ・ポルフィーリィ・ソーニャの三人。ミステリーの大作です。プレゼンターはきたろう氏でした。
素敵な本に出会ってきました
★★★★★
スヴィドリガイロフのセリフ「われわれはつねに永遠というものを、理解できない観念、何か途方もなく大きなもの、として考えています。それならなぜどうしても大きなものでなければならないのか?そこでいきなり、そうしたものの代わりに、ちっぽけな一つの部屋を考えてみたらどうでしょうか。田舎の風呂場みたいなすすだらけの小さな部屋で、どこを見ても蜘蛛の巣ばかり、これが永遠だとしたら。」 閉ざされた空間の中に永遠を見出すドストエフスキーは凄い!と思いました。
数学では、例えば、0から1までの線分には無限の”数”があるといいます。閉ざされた、ちっぽけな世界にも永遠、無限はあるんだと思っています。道元が一粒の雫にも月が宿ると言っているように。
有意義な時の流れ
★★★★☆
罪の意識、葛藤、最後は愛。人生に一度は読んでみるのはいいんではないでしょうか?・・・
徒然本舗
★★★☆☆
「世のため人のためにぼくは老婆を殺した。これほどの恐怖がついてくるとは・・・・・」Byラスコーリニコフ。
新潮文庫。海外物オトナになったら読みたいドストエフスキーから有名な一冊。自分のしたことは正しいことなのか?人生にはそんな分岐点がたくさんある。
オレンジ書店
★★★★★
【ドストエフスキーの印象】ドストエフスキーの小説は長いです。けれどセリフも多いんです。だから読みやすい。長セリフも情熱にかられて自分に入りこみながらしゃべっている人たちが多いので、勢いがあって、こっちまでテンション上がってくるというか、血がたぎってくるというか…、情熱的です。長い小説に慣れれば読みやすいと思います。法廷裁判ものとか、殺人事件ものとしても、読めちゃいます。ごめんなさい、ドストエフスキー。
文芸小舎
★★★★★
新潮文庫の「罪と罰」は上下二巻で完結。
女王様の寝床
★★★★☆
【小説・文庫】下巻では謎の男・スヴィドリガイロフが登場。この、主人公の行動を見通すような不気味な男は、上巻にも主人公の妹の家庭教師先の家の主人として登場してます。もし、主人公に家族や友人、恋人がいなかったらこうなっただろう、という人物像かな。主人公が自分の犯した罪が罰せられないが為に、より追い詰められていく過程などは真に迫ってすごい展開と思う。しかし、罰せられた後の主人公の更正の仕方が何か附に落ちないような…。
まーちゃんのラブBOOK
★★★★★
もちろん上巻と合わせてどうぞ。
シーラカンス
★★★★★
なかなかびっくりすることが出てきたりするなあという気がしました。読み進めたくなる感じはなんなんだろうと。
吉田書店
★★★★☆
何によって罰せられるのでしょうか?